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September 11, 2025 Vol. 393 No. 10

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ルワンダにおけるマールブルグ病,2024 年 ― 公衆衛生の対応と臨床での対応
Marburg Virus Disease in Rwanda, 2024 — Public Health and Clinical Responses

S. Nsanzimana and Others

背景

2024 年 9 月 27 日,ルワンダは,都市部の 2 つの病院でウイルス性出血熱の症例クラスターが確認されたことを受け,マールブルグ病(MVD)の集団発生を報告した.

方 法

この集団発生における MVD の疫学,臨床症状,治療の重要な側面と,集団発生に対する対応全般について報告する.支持療法と試験薬の投与を受けた患者の臨床像,疾患進行,転帰の特徴を明らかにするために,集団発生に対する対応の柱すべてについて収集したデータの後ろ向きの疫学的,臨床的検討と,症例シリーズ解析を行った.

結 果

MVD が疑われ検査を受けた 6,340 例のうち,66 例で MVD が確認された.66 例中 51 例(77%)は医療従事者であった.推定潜伏期間の中央値は 10 日(四分位範囲 8~13)で,症状発現の時期は,中央値で入院の 2 日前(四分位範囲 1~3)であった.疫学調査の結果から,動物が集団発生の起源であることが強く示唆された.すなわち,ある採掘現場でエジプトルーセットオオコウモリに曝露した 1 例が,発端患者であることが確認された.この集団発生における致死率は 23%(66 例中死亡例 15 例)であった.拡大アクセス試験の実施計画書のもと,レムデシビルとモノクローナル抗体 MBP091 が使用された.さらに,第 2 相臨床試験の緊急使用許可のもと,チンパンジーアデノウイルス 3 型ベクターワクチン ChAd3-MARV の接種を,最前線の医療従事者および高リスク接触者 1,710 人が受けた.

結 論

封じ込め対策の実施,高度な支持療法,試験薬へのアクセスが,この集団発生における MVD による死亡の抑制に寄与した可能性がある.サーベイランスの強化,医療現場における感染予防・制御の向上,医学的対策を適切なタイミングで確実にとれるようにすることは,将来,フィロウイルス病の集団発生が発生した際の影響を少なくするために不可決であると思われる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 983 - 93. )