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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 27, 2003
Vol. 348 No. 13

ORIGINAL ARTICLE

  • 好酸球増多症候群におけるイマチニブの標的としての新しい融合蛋白
    Novel Fusion Protein as a Target of Imatinib in the Hypereosinophilic Syndrome

    好酸球増多症候群におけるイマチニブの標的としての新しい融合蛋白

    好酸球増多症候群は,好酸球がさまざまな臓器に浸潤して破壊を行う致死的な疾患であるが,その一部の症例で,PDGFRA 遺伝子と FIP1L1 遺伝子の融合が認められた.融合蛋白は恒常的に活性化されているチロシンキナーゼであり,このことは,この疾患におけるチロシンキナーゼ阻害剤,イマチニブの有効性を説明している.融合蛋白による造血細胞の不死化は,この症候群の発症における融合蛋白の役割を示している.
    この報告の中心は,2 つの遺伝子の新しい種類の融合,融合の新しい機構,および新規の遺伝子産物である.好酸球増多症候群はまれであるが,これらの知見は,ほかの癌における分子異常を発見するうえで意義がある.

  • 無症候性脳梗塞と認知機能低下のリスク
    Silent Brain Infarcts and the Risk of Cognitive Decline

    無症候性脳梗塞(神経症状を伴わない梗塞)は頻度が高く,その臨床的意義は明らかではない.この住民ベースの研究では,1995~96 年と 1999~2000 年の 2 回,痴呆のみられない高齢者に認知力テストと磁気共鳴画像検査を実施した.痴呆発症の確率は,ベースラインで無症候性脳梗塞のある参加者で 2 倍以上であった.
    脳画像上に偶然発見された梗塞の所見は,臨床的に重要である;無症候性梗塞は認知機能低下のリスク上昇と関連している.

  • 神経因性疼痛に対する経口オピオイド療法
    Oral Opioid Therapy for Neuropathic Pain

    中枢神経系または末梢神経の損傷後に生じる疼痛は神経因性疼痛として知られており,難治性である.多くの医師は,依存症や,耐性により有効性が失われることを恐れ,この種の疼痛治療に麻薬を用いることを避けてきた.この 8 週間の試験において,高用量レボルファノール(levorphanol)錠で治療された神経因性疼痛患者は,低用量錠に割り付けられた患者よりも疼痛強度は低かったが,副作用が多かった.
    高用量レボルファノールは神経因性疼痛の軽減に有効だったが,緩和されない疼痛もかなり残っていた.神経因性疼痛に対しては,より優れた総合的治療法が必要である.

  • 心不全における閉塞性睡眠時無呼吸
    Obstructive Sleep Apnea in Heart Failure

    心不全における閉塞性睡眠時無呼吸

    閉塞性睡眠時無呼吸は,低酸素症や交感神経系の活性化を引き起し,心拍数の増加や血圧上昇をもたらすため,心不全の症状を増悪させる可能性がある.この研究では,持続気道陽圧が,心不全と閉塞性睡眠時無呼吸を併発した患者の収縮期血圧を下げ,左室機能を改善させることが明らかとなった.
    閉塞性睡眠時無呼吸の発現は,心不全患者の 1/3 に及ぶことがあるため,そのような患者の大部分に持続気道陽圧が有用である可能性がある.

CLINICAL PRACTICE

  • 有痛性感覚神経障害
    Painful Sensory Neuropathy

    健康状態が非常に良好であった 67 歳の女性は,評価の 2 年前に,左足第 1 趾の灼熱痛の発現に気付いた.痛みはその後両足へ,そして足指から踵へと広がり,しびれ,刺痛,灼熱感を伴った.不快感は耐えがたいものとなり,1 日中感じられ,睡眠の妨げとなっている.診察では,筋力,筋伸張反射,固有感覚,振動覚は正常であるが,足指・足の刺針に対する感覚だけが弱くなっている.この患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?

MEDICAL PROGRESS

  • 一般的な気道感染症の感染力はどの程度か?
    How Contagious Are Common Respiratory Tract Infections?

    この総説では,このよくある質問への回答が取り上げられている.ここでは人から人へと蔓延する,一般的な気道感染症に重点をおいている.最近では主にバイオテロリズムにおける実際の役割,あるいは潜在的役割のため病原体が注目されているが,著者はむしろ,そうした病原体や院内感染ではなく地域ベースの感染に焦点を絞っている.

CORRESPONDENCE

  • 心房細動 ― 心拍コントロールか調律コントロールか

  • 侵襲性カンジダ症の治療

  • 医師の専門と心筋梗塞後の死亡率

  • 移民における結核の潜伏感染

  • 潜伏性結核感染の治療

  • 産後うつ病

  • 医学生のための臨床技能試験か?