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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 22, 2003
Vol. 348 No. 21

This Week in the JOURNAL

ORIGINAL ARTICLES

  • 重症肺気腫に対する肺容量減少手術
    Lung-Volume--Reduction Surgery for Severe Emphysema

    重症肺気腫に対する肺容量減少手術

    肺気腫は気腔の破壊の結果生じ,肺の弾性収縮力と,ガス交換のための肺胞毛細管表面が失われる.この研究では,肺容量減少手術と肺気腫の内科的管理法を比較した.手術は,肺気腫による死亡率に対して全般的な効果はもたらさなかった.手術が転帰に対して有益な効果または逆効果を示した,特定可能な患者サブグループが存在した.

    大半の肺気腫患者では,肺容量減少手術により生存に関する有益性は得られない.

  • 重度の肥満における低炭水化物食と低脂肪食との比較
    A Low-Carbohydrate Diet as Compared with a Low-Fat Diet in Severe Obesity

    糖尿病や代謝症候群の有病率が高い重度肥満の被験者を,低脂肪食または低炭水化物食に無作為に割付けた.この 6 ヵ月間の研究において,全被験者を組み入れた解析では,低炭水化物食群の被験者で低脂肪食群の被験者よりも体重がより減少し(平均 [±SD] 減少,5.8±8.6 kg 対 1.9±4.2 kg;P=0.002),代謝状態もより改善した.しかし,すべての変数で群間の差は小さかった.

    炭水化物制限食が承認される前に,心血管系の長期転帰を評価する今後の研究が必要である.

  • 肥満に対する低炭水化物食の無作為化試験
    A Randomized Trial of a Low-Carbohydrate Diet for Obesity

    1 年間の試験で,肥満男女 63 人を低炭水化物・高蛋白・高脂肪食または従来の高炭水化物・低脂肪食のいずれかに無作為に割付けた.低炭水化物食群の参加者では,従来食群の参加者よりも 3 ヵ月後および 6 ヵ月後の体重減少が大きかったが,1 年以内にその差は縮小した.低炭水化物食は,冠動脈心疾患に対するいくつかの危険因子がより改善することと関連していた.いずれの食事群でも遵守状況は不良で,脱落率は高かった.

    低炭水化物・高蛋白・高脂肪食の長期の安全性と有効性を明らかにするには,さらに長期の大規模な研究が必要である.

SPECIAL ARTICLE

  • 重症肺気腫患者に対する肺容量減少手術の費用効果
    Cost Effectiveness of Lung-Volume--Reduction Surgery for Patients with Severe Emphysema

    全米肺気腫治療試験から得たデータに基づき,著者らは,3 年間の追跡期間で,内科的治療と比較して肺容量減少手術は,QOL で補正した余命延長 1 年当り 190,000 ドルの費用がかかると報告している.研究者らは将来の生存と費用を推定し,10 年間では手術によって QOL で補正した余命延長 1 年当り 53,000 ドルの費用がかかると推計した.

    肺容量減少手術の長期的費用効果は明らかではないが,この手術は,利益が 3 年間を経過しても持続する場合にのみ,他の治療行為より優れている.

CLINICAL PRACTICE

  • 下肢静止不能症候群
    Restless Legs Syndrome

    45 歳の女性が,何年も前から毎晩不眠であると訴えている.さらに問診すると,夜横になると両下肢に不快な感覚が現れるとのことである.「脚を動かす必要がある」という気持ちになり,起き上がって歩き回らないと収まらないという.この患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 遺伝医学と肥満
    Genetic Medicine and Obesity

    糖尿病,喘息,肥満といったよくみられる疾患は家族内で発症するが,通常,複雑な遺伝パターンを有する.関連遺伝子の同定は周知の通りむずかしい.マウスで「肥満遺伝子」の同定を目的としてデザインされた新しい研究では,他のよくみられる疾患の基礎にある遺伝子を同定するのに役立つ可能性がある技術を組み合せて使用した.

HEALTH POLICY REPORT

  • メディケイドのジレンマ
    The Dilemma of Medicaid

    この“Health Policy Report”は,メディケイドプログラムに対する圧力の最近の原因について述べている.過去 1 年にわたり,メディケイドは,全米各州で州の財政危機に関係した,より深刻な財政的制約に直面している.ブッシュ政権は,それぞれの州でプログラムを計画するに当り,各州により柔軟性を与えるためにメディケイドを再編し,州が利用できる連邦補助金に最高限度を設けることを提案している.

CORRESPONDENCE

  • 急性呼吸窮迫症候群の生存者

  • 肺高血圧症におけるシグナル伝達分子

  • 水銀と心筋梗塞のリスク

  • 子癇予防

  • クローン病におけるインフリキシマブの免疫原性

  • 胸部のエキノコックス症

  • 急性疾患患者におけるコルチコステロイド欠乏

  • 遅発型幼児神経リポフスチノーシス

  • 病的肥満患者のグレリン濃度