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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 6, 2003
Vol. 348 No. 6

ORIGINAL ARTICLES

  • 血管造影を受ける高リスク患者における腎毒性作用
    Nephrotoxic Effects in High-Risk Patients Undergoing Angiography

    血管造影を受ける高リスク患者における腎毒性作用

    血管造影を受ける高リスク患者は,腎毒性作用に感受性が高い.この前向き無作為二重盲検試験では,ベースラインの血清クレアチニン濃度が 1.5~3.5 mg/dL の糖尿病患者における腎症の発症率を評価した.患者は等浸透圧で非イオン性ダイマー型造影剤であるイオジキサノールまたは低浸透圧で非イオン性モノマー型造影剤であるイオヘキソールのいずれかを投与された.クレアチニン濃度の上昇および明らかな腎症の発症率は,等浸透圧造影剤投与群で有意に低かった.
    等浸透圧造影剤を用いれば,高リスク患者が造影剤による腎症を発症する可能性はより低いと考えられる.

  • 肺高血圧症におけるシグナル伝達分子
    Signaling Molecules in Pulmonary Hypertension

    肺高血圧症におけるシグナル伝達分子

    肺細動脈における平滑筋細胞の増殖が,肺高血圧症の病因の中心となっている.この研究では,平滑筋細胞の増殖に関与するシグナル伝達経路が,非家族性の肺高血圧症患者において変化していることを認めた.このシグナル伝達経路には,平滑筋細胞のリクルートメントシグナルを送る分子である angiopoietin-1 やその受容体である TIE2 および 2 型骨形成因子受容体が含まれていた.
    先行研究では,2 型骨形成因子受容体における突然変異が,家族性の肺高血圧症を引き起す可能性が示されていた.今回の研究は,家族性ならびに非家族性の肺高血圧症双方に関与する機序を結び付けている.

  • コカインに関連した胸痛
    Cocaine-Associated Chest Pain

    低~中リスクのコカインに関連した胸痛患者 302 例を 9~12 時間の観察後,胸痛診療部門から帰宅させ,30 日間追跡した.心血管系の原因による死亡はみられず,非致命的な心筋梗塞が 4 例にみられたのみであった(4 例はすべてコカインの使用を続けた患者であった).一方,直接入院した(そのため本研究の対象者とならなかった)高リスク患者 42 例中 20 例で,急性の冠動脈症候群が診断された.

  • 子宮頸癌に関連する HPV 型
    HPV Types Associated with Cervical Cancer

    11 件の研究において,9 ヵ国の子宮頸癌女性約 2,000 例と,ほぼ同数の対照女性から得た子宮頸部の剥離細胞中のヒトパピローマウイルス(HPV)型を,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で決定した.解析した 33 種の HPV 型のうち,18 種が高リスク型または高リスクの可能性が高い型に分類され,12 種が低リスク型に分類された.200 を超える子宮頸癌のオッズ比は,HPV16,59,33,18 型と関連していた.
    この国際研究の結果は,HPV に対するワクチンのデザイン,および高リスク HPV 型に対するスクリーニング検査を女性に対して行うための有効な戦略を立てるに当り,重要な意味をもっている.

REVIEW ARTICLES

  • 遺伝学と薬物反応性
    Genetics and Response to Drugs

    遺伝学と薬物反応性

    薬剤に対する反応性には個々の患者でかなりの違いがある.反応性に差がある原因は,薬物代謝を担う酵素の遺伝的差異,薬物標的の違い,副作用の原因となる遺伝子の差である.本誌今週号の 2 本の論文,“Genomic Medicine”と“Drug Therapy”では,薬物作用または副作用に影響を及ぼす,臨床的に関連がある多数の遺伝性変異体について述べている.そのような変異体の研究が,薬理遺伝学分野の基盤となっている.