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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 16, 2003
Vol. 349 No. 16

  • 21 トリソミーと 18 トリソミーの妊娠第 1 三半期スクリーニング子宮頸癌スクリーニングの間隔の延長
    Extending the Interval between Cervical-Cancer Screenings

    21 トリソミーと 18 トリソミーの妊娠第 1 三半期スクリーニング子宮頸癌スクリーニングの間隔の延長

    パパニコロー塗抹が 3 回以上連続して陰性であった 30~64 歳の女性の大規模集団から得たデータに基づいて,著者らは,年 1 回のスクリーニングを 3 年間行う場合と比較して,3 年ごとに 1 回スクリーニングを行うことで増加する子宮頸癌のリスクは, 100,000 人当り 3 例にすぎないと結論付けている.
    これらのデータは,以前の細胞診検査で陰性を示した 30 歳以上の女性では,子宮頸癌スクリーニングの間隔を 3 年間に延長できるという最近の勧告を裏付けている.

    • 遅発性マラリア
      Delayed Onset of Malaria

      この研究では,風土病地域を旅行後にマラリアを発症して受診したイスラエルの患者 300 例と,米国の患者 2,822 例が同定された.これらの患者のうち,36%は帰国後 2 ヵ月以上を経過してから受診したが,その大半が国のガイドラインに従った抗マラリア療法を行っていた.
      マラリア予防のため旅行者に処方される薬剤のほとんどは,原虫が赤血球内に侵入した段階で作用する.三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)が原因であることが多い遅発性マラリアの発症を予防するには,異なる治療戦略,おそらく新規の薬剤が必要であろう.

      • 遺伝性甲状腺髄様癌の早期の悪性進行
        Early Malignant Progression of Hereditary Medullary Thyroid Cancer

        RET 原癌遺伝子における生殖細胞系変異は甲状腺癌と関連している.研究者らは,RET 変異があることが確認され予防的甲状腺切除を受けた,20 歳以下のまだ症状のない患者について検討した.加齢に伴う C 細胞過形成から甲状腺髄様癌ならびにリンパ節転移への有意な進行が,特定の変異をもつサブグループに認められた.
        これらのデータは,RET 遺伝子変異の無症候性キャリアにおける予防的甲状腺切除の時期について,最初の指針を提供している.

        • SLE の臨床的発症前の自己抗体
          Autoantibodies before the Clinical Onset of SLE

          米国軍人 130 例において,米国国防総省の血清保管所に血液試料が保管された後,全身性エリテマトーデス(SLE)が発症した.検査では,130 例中 88%が臨床診断前に 1 種類以上のループス関連自己抗体を有していたことが明らかになった.最初に形成された抗体は,抗核抗体,抗リン脂質抗体,抗 Ro 抗体,抗 La 抗体であり,これらの抗体は平均して診断の 3 年以上前に認められた.抗二本鎖 DNA 抗体は診断の 2 年前に認められた.抗 Sm 抗体と抗核リボ核蛋白抗体は最後に形成され,診断の約 1 年前に認められた.
          自己抗体形成に関するこの詳細な説明は,全身性エリテマトーデスの生物学について興味深い情報を提供するものである.

        • CURRENT CONCEPTS

          • 原発性進行性失語症
            Primary Progressive Aphasia

            原発性進行性失語症は,記憶が比較的保たれているにもかかわらず言語能力が衰える,非定型痴呆である.何年にもわたって,その主な徴候や症状は言語野に限定されている可能性がある.患者は,喚語困難,異常な言語パターン,綴りの間違いが目立つなどといった理由で,治療に訪れる可能性がある.神経心理学的検査が,正しい診断の確定に役立つであろう.

          MECHANISMS OF DISEASE

          • 神経系に影響を及ぼす傍腫瘍性症候群
            Paraneoplastic Syndromes Involving the Nervous System

            傍腫瘍性神経症候群は,神経系に特有の抗原を産生する神経系外の腫瘍によって誘発される.異所性の腫瘍抗原に対する免疫反応は,神経組織を損傷するだけでなく,腫瘍の成長も阻害する.
            この簡潔な総説の重要なポイントは,原因となる腫瘍がしばしば不顕性であるため,傍腫瘍性神経症候群は診断上の難問であるということである.