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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

July 10, 2003
Vol. 349 No. 2

ORIGINAL ARTICLE

  • 移植腎長期生着の予測因子としての抵抗指数
    The Resistance Index as a Predictor of Long-Term Renal Allograft Survival

    移植腎長期生着の予測因子としての抵抗指数

    腎移植は,慢性移植腎症あるいはレシピエントの死亡のため失敗となることが多いが,こうした転帰を予測する方法はない.この研究では,腎区動脈の抵抗指数(収縮期の血流量に対する拡張末期の血流量の減少率[%])の予測における有用性を評価した.抵抗指数高値(80 以上)はクレアチニンクリアランス低下,移植腎廃絶または死亡のリスク増大に関連した.
    ドップラー血流検査および腎動脈抵抗指数の算出を行えば,将来の移植腎機能を予測するのに役立つかもしれない.

  • 同種移植腎の急性拒絶反応における分子多様性
    Molecular Heterogeneity in Acute Renal Allograft Rejection

    この研究では,DNA マイクロアレイを用いて,正常な移植腎および機能不全に陥った移植腎から得た生検標本の遺伝子発現パターンを検討した.光学顕微鏡では識別不能な急性拒絶反応の亜型を,免疫の活性化および細胞増殖の違いで区別することができた.CD20+B細胞の高密度な浸潤は,臨床的なグルココルチコイド抵抗性および移植腎廃絶と有意に関連していた.
    急性拒絶を起した患者の腎生検は,遺伝子発現に幅広い違いを示す可能性があり,この違いは,免疫学的・細胞学的特徴ならびに拒絶の臨床経過の違いと関連している.

  • 臨床的に明確な多発性硬化症の予測因子としての抗ミエリン抗体
    Antimyelin Antibodies as a Predictor of Clinically Definite Multiple Sclerosis

    この研究では,新たに神経症状を呈した患者で,磁気共鳴画像の異常および多発性硬化症を示唆する脳脊髄液の所見を示した 103 例を対象とした.ミエリン希突起膠細胞糖蛋白(MOG)とミエリン塩基性蛋白(MBP)に対する抗体をもつ患者は,抗体をもたない患者よりも,再発症状の発現や臨床的に明確な多発性硬化症に進行する可能性がはるかに高かった.
    多発性硬化症の臨床症状の初発時に抗 MOG 抗体や抗 MBP 抗体が存在しないことは,何年も再発しない可能性がある患者や,早期に行う免疫調節療法を必要としない患者を同定する可能性がある.

  • 癌における再発性静脈血栓塞栓症予防のためのダルテパリンに続くクマリン投与とダルテパリン単独投与の比較
    Dalteparin Followed by a Coumarin versus Dalteparin Alone to Prevent Recurrent Venous Thromboembolism in Cancer

    癌患者では,深部静脈血栓症の再発リスクが高いため,二次予防が重要である.研究者らは,最初のイベント後 6 ヵ月間,低分子ヘパリンであるダルテパリンと経口抗凝固薬の比較を行い,ヘパリン群で再発が少なかったことを明らかにした.
    再発性静脈血栓症は,癌患者にとって負担である.低用量ヘパリンを用いた予防法の容易さと有効性は,癌患者の QOL を向上させる可能性が高い.

BRIEF REPORT

  • 二卵性一絨毛膜性双胎児の報告
    A Report of Dizygous Monochorionic Twins

    一般的に,一絨毛膜性双胎児は必ず一卵性であると考えられている.著者らは,体外受精で妊娠した,性別が異なる一絨毛膜性双胎児の事例を報告している.この双胎児は二卵性であることが証明された.
    この事例は,一絨毛膜性双胎児が必ず一卵性であるという通念を否定している.

MECHANISMS OF DISEASE

  • 中・大血管の血管炎
    Medium- and Large-Vessel Vasculitis

    巨細胞動脈炎は,一般に側頭動脈や椎骨動脈といった頭蓋外の大動脈枝に関連する.側頭動脈炎とリウマチ性多発筋痛症はしばしば併発し,ほぼすべての型の巨細胞動脈炎で全身に炎症症状が発現する.この論文は,巨細胞動脈炎の原因に関わる機序について,とくに免疫を介した動脈の損傷に重点をおいて述べている.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 多発性硬化症における分子擬態
    Molecular Mimicry in Multiple Sclerosis

    分子擬態は,外来抗原が自己抗原に非常に類似しており,自己免疫反応を引き起すというものである.多発性硬化症患者から得た T 細胞受容体の特異性に関する研究は,分子擬態が蛋白複合体にまで及ぶことを示している――この知見は治療に影響を与える.

CORRESPONDENCE

  • コロナウイルスのゲノム塩基配列の変異とSARS の疫学

  • 被験者の保護

  • 低身長の青少年に黄体形成ホルモン放出ホルモン作動薬を投与するのは正当か?

  • 神経変性疾患の遺伝学

  • 喘息における咳払い

  • 妊娠におけるバベシア症