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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
July 17, 2003
Vol. 349 No. 3
This Week in the JOURNAL
ORIGINAL ARTICLES
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フィナステリドと前立腺癌の発生
Finasteride and the Development of Prostate Cancerこの無作為試験では,前立腺内でのアンドロゲン産生を阻害するフィナステリドにより,前立腺癌を予防できるという仮説を検証した.参加者は 7 年間毎日,フィナステリドあるいはプラセボを服用する予定になっていた.前立腺癌は,フィナステリド群の男性の 18.4%,プラセボ群の男性の 24.4%に認められた.より悪性度の高い前立腺癌(Gleason スコア,7,8,9,10)は,プラセボ群よりもフィナステリド群で多かった.性機能障害はフィナステリド群でより多く,泌尿器障害はプラセボ群でより多かった.
フィナステリド療法は,前立腺癌予防を目的としては一般に開始すべきではない. -
喘息に対するダニアレルゲン管理とアレルゲン不透過性ベッドカバー
Mite-Allergen Control and Allergen-Impermeable Bed Covers for Asthma喘息患者は,ハウスダスト中のダニアレルゲンに感作されていることが多く,このアレルゲンを産生する微小な生物は寝具に生息している.寝具にハウスダスト中のダニを透過しないカバーを使用することが,喘息の悪化を防ぐ方法として推奨されている.この研究では,軽度の喘息の成人患者 1,100 例以上を対象とした.アレルゲン不透過性寝具の使用は,アレルゲン透過性ベッドカバーの使用と比較して,呼気流量に関して効果がなかった.
ハウスダスト中のダニを透過しないマットレスカバーと枕カバーの使用を,アレルゲン管理の方法に含める必要はない. -
アレルギー性鼻炎における不透過性寝具カバーの評価
Evaluation of Impermeable Bedding Covers in Allergic Rhinitisアレルギー性鼻炎患者は,症状予防の一手段としてアレルゲン回避を指導されることが多い.この研究はアレルゲン回避に用いられる一般的な介入法――枕,マットレス,羽毛布団にハウスダスト中のダニを透過しないカバーをかけること――を,アレルゲン回避策の特定項目として検討した.こうしたカバーの使用は鼻炎症状に効果がなかった.
アレルゲン回避の介入法としてダニ不透過性カバーを用いることは,高価だが実行は容易である.残念なことに,カバーに費やした資金から利益はまったく得られないと考えられる. -
マイクロサテライト不安定性と結腸癌に対するフルオロウラシル療法の利益
Microsatellite Instability and Benefit from Fluorouracil Therapy for Colon Cancer一部の大腸癌では,DNA 修復機能の欠損により,マイクロサテライト不安定性と呼ばれる異常が起る.この研究では,意外にも,フルオロウラシルを用いた補助療法が,高頻度マイクロサテライト不安定性を示す腫瘍のある患者に対しては利益がなく,マイクロサテライト安定性を示す腫瘍のある患者に対しては利益があることが明らかになった.
マイクロサテライト不安定性を示す腫瘍のある患者は,マイクロサテライト安定性腫瘍のある患者よりも余命が長い.DNA に損傷を与えうるフルオロウラシルが,なぜ遺伝子不安定性の性質をもつ腫瘍に対して高い作用を示さないのかは不明である.この研究結果はすぐには臨床に適用できないが,今後大腸癌の補助療法に関する試験を行ううえで考慮に入れることはできるだろう.
CLINICAL PRACTICE
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女性の急性単純性尿路感染症
Acute Uncomplicated Urinary Tract Infection in Women28 歳の女性が,3 日前から排尿障害と尿意切迫があると主治医に電話で訴えている.この女性は以前にも何度か尿路感染症にかかっており,昨年は 3 回罹患した.それ以外は健康で,薬物の服用もない.性的に活発で,避妊には殺精子剤加工のコンドームを使用している.発熱,悪寒,膣分泌物,側腹部痛はみられない.この女性をどのように評価し,治療すべきであろうか?
MEDICAL PROGRESS
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プロメテウスのハゲワシと幹細胞の将来性
Prometheus's Vulture and the Stem-Cell Promise胚性幹細胞(ES 細胞)は,この 20 年,熱心な研究の中心であった.胚性幹細胞は多分化能をもつ,初期胚に由来する未分化の細胞である.一方,成熟組織にみられる成人幹細胞の起源は,ほとんど明らかにされていない.おそらく妊娠期間に別の場所に蓄えられた一群の予備幹細胞が,成人してから新たに再生されるという可能性が非常に有望である.この総説では,幹細胞研究の現状を考察している.
MECHANISMS OF DISEASE
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核移植,胚性幹細胞,および細胞療法の可能性
Nuclear Transplantation, Embryonic Stem Cells, and the Potential for Cell Therapyこの総説では,生殖クローニングと治療クローニングの違いを議論している.なぜ生殖クローニングが実用的でなく,治療クローニングが遺伝性疾患や変性疾患の治療に有望であるのか,その理由を説明する.
CORRESPONDENCE
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ピーナッツアレルギー
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外来ケアにおける薬剤有害事象
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虫垂炎の疑い
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有痛性感覚神経障害
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冠動脈バイパス術後のケア
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アメーバ症
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HIPAA が患者ケアに及ぼす悪影響
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スカイダイバーの脊髄空洞症