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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 7, 2003
Vol. 349 No. 6

This Week in the JOURNAL

ORIGINAL ARTICLES

  • エストロゲン+プロゲスチンと冠動脈心疾患のリスク
    Estrogen plus Progestin and the Risk of Coronary Heart Disease

    この報告は,閉経後女性を対象にエストロゲン+プロゲスチン療法とプラセボとを比較した,女性健康イニシアチブの最終結果を示している.冠動脈心疾患の主要エンドポイントに関して,5 年間のホルモン療法による予防効果はなかった.また,有害事象が起る可能性があり,とくに試験 1 年目に可能性が高かった.併用ホルモン療法は,冠動脈心疾患の予防を目的として勧めることはできない.

  • ホルモン療法と冠動脈疾患の進行
    Hormone Therapy and the Progression of Coronary Disease

    最近の臨床試験は,ホルモン療法は閉経後女性の冠動脈事象を予防せず,それどころかリスクを増加させる可能性があることを示している.今回の研究では,冠動脈疾患と診断されている女性を対象に,17β-エストラジオール単独あるいは 17β-エストラジオールと酢酸メドロキシプロゲステロンの併用による治療を行っているあいだに,冠動脈アテローム性動脈硬化がどの程度進行するかを,定量的冠動脈造影法を用いて評価した.いずれのホルモン療法にも,3 年間の期間中に冠動脈アテローム性動脈硬化の進行に対する効果はなかった.

  • 乳癌における センチネルリンパ節生検と標準的腋窩リンパ節郭清
    Sentinel-Node Biopsy versus Routine Axillary Dissection in Breast Cancer

    乳癌女性におけるセンチネルリンパ節生検の診断的価値が,無作為試験で評価された.この手技の精度,感度および特異度は高かった.生検でセンチネルリンパ節に転移が認められない場合,腋窩リンパ節郭清を回避することができる.この研究は,センチネルリンパ節生検の臨床的価値を支持する,有用なデータを提供している.

BRIEF REPORT

  • 遺伝性 MASP-2 欠損症
    Inherited MASP-2 Deficiency

    補体活性化経路の 1 つには,マンナン結合レクチンとそれに結合しているセリンプロテアーゼ 2(MASP-2)が関与している.潰瘍性大腸炎と水疱を伴う多形性紅斑の既往があり,全身性エリテマトーデスの可能性がある成人で,MASP-2 欠損症が確認された.この男性は,重篤な肺炎球菌性肺炎に繰り返し罹患していた.研究により,この男性では補体活性化のマンナン結合レクチン経路が機能していないことが明らかになった.

GENOMIC MEDICINE

  • ゲノム医学の倫理的,法的,社会的影響
    Ethical, Legal, and Social Implications of Genomic Medicine

    個々の患者の遺伝情報を使用するに当っては,通常の医療情報の使用とは少々異なる法的基準が適用されるべきだと一般的に考えられている.ゲノム医学シリーズのこの論文は,遺伝情報使用の適切な例と不適切な例をあげている.医師にとっての最大のジレンマは,治療法の存在する遺伝性疾患の診断を受けた患者や,家族とその情報を共有することを嫌がる患者がいた場合に,その親族に情報を知らせるかどうかということである.

MEDICAL PROGRESS

  • 組織修復のための成人幹細胞
    Adult Stem Cells for Tissue Repair

    さまざまな組織に固有な成人ヒト幹細胞に関する記述がふえ,特徴付けがなされているが,一部はごく最近である.最近のデータの分析では,成人幹細胞は,みずからの組織の範囲を超えて分化しうることが示唆されており,このプロセスは「幹細胞の発生上の可塑性」と呼ばれている.この総説は,骨髄と末梢血由来の成人幹細胞の in vivo モデルおよびそれらの新しい治療への適用の可能性に焦点を当てている.

MECHANISMS OF DISEASE

  • アミロイドーシスの分子機構
    Molecular Mechanisms of Amyloidosis

    アミロイドーシスは,アルツハイマー病の原因または透析の合併症として何百万もの人を冒し,そのうえまれな症状を引き起す.この疾患にみられる多くの病型には,1 つの根本原因がある.それは異常な折り畳み構造の蛋白質である.迅速かつ正確な診断が不可欠であり,これはとくに遺伝型アミロイドーシスについていえる.この論文では,さまざまな病型のアミロイドーシスの分子基盤を概説し,これらの疾患を治療する新しい方法を提案している.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 時空を越えて
    A Wrinkle in Time

    86 歳の男性が,腹部不快感と発熱で受診した.男性の病歴として注目すべきものは,長年の高血圧,軽度の慢性腎不全,冠動脈バイパス術,7 年前の腹部大動脈瘤の修復,痛風,憩室炎,前立腺炎であった.

CORRESPONDENCE