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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 1, 2004
Vol. 350 No. 14

ORIGINAL ARTICLE

  • C 反応性蛋白と冠動脈疾患リスク
    C-Reactive Protein and the Risk of Coronary Disease

    C 反応性蛋白と冠動脈疾患リスク

    この大規模な前向き研究は,冠動脈イベントの予測における C 反応性蛋白(CRP)濃度の有用性に疑問を投げかけている.これまでの研究とは対照的に,この研究では,CRP 濃度の予測因子としての強さは中程度であり,コレステロール濃度,喫煙状況,血圧などの標準的な冠動脈危険因子の予測能を増大させることはほとんどないことが明らかとなった.
    著者らは,冠動脈リスクの予測に CRP の使用を推奨することについて,再検討する必要があると考えている.

  • ワクチン接種と 1 型糖尿病
    Vaccination and Type 1 Diabetes Mellitus

    1990 年~2000 年にデンマークで生まれた小児すべてを対象としたこの症例対照研究では,ワクチン接種と 1 型糖尿病の発症に関する詳細な情報を検討した.研究者らはポアソン回帰モデルを用い,ワクチン接種状況に基づいて全小児の糖尿病の発生率比を推定した.いずれの種類のワクチン接種も,糖尿病との関連性はないと考えられた.
    これらの結果は,小児期のワクチン接種と 1 型糖尿病の因果関係を立証するものではない.

  • 口腔白斑の切除と異数性が死亡率に及ぼす影響
    The Influence of Resection and Aneuploidy on Mortality in Oral Leukoplakia

    この研究から,異数体の口腔白斑を完全に切除しても,口腔癌のリスクおよび口腔癌による死亡のリスクは低下しないことが示された.(異数体は,染色体数が正常な二倍体数の倍数ではない――たとえば,染色体数 49 本など.)
    口腔白斑は喫煙と関連することが多く,いまだに臨床上困難な問題である.

SPECIAL ARTICLE

  • インフォームド・コンセントと患者登録
    Consent and Patient Registries

    政府と倫理委員会は,臨床試験への登録前に,すべての対象者から文書によるインフォームド・コンセントを得ることを徐々に要求し始めている.この論文の著者らは,カナダ脳卒中ネットワーク登録への前向きな登録において,インフォームド・コンセントを得るための包括的な取り組みが参加率に及ぼす影響を検討している.総参加率は,研究の第 I 相で 39.3%,第 II 相で 50.6%であった.文書による同意書の取得には費用がかかり,結果として選択バイアスが生じた.
    これらの知見は,プライバシーに関する法律制定,ならびに最小限のリスクしか伴わない観察研究に対するインフォームド・コンセントの省略を認める方針の必要性を強調している.

CURRENT CONCEPTS

  • 感染と外科インプラント
    Infections and Surgical Implants

    感染と外科インプラント

    すべての院内感染のうち,約半数は体内に留置された器具に関連している.挿入された外科器具に関連する感染は,長期にわたる抗菌薬治療や,度重なる外科的処置が必要となる可能性があるため,とくに対処がむずかしい.この総説では,診断上の課題を簡潔に述べ,人工心臓弁,人工血管,ペースメーカーや除細動器,人工関節といったさまざまな器具に関連する感染を管理するための取り組みについて説明している.

MEDICAL PROGRESS

  • 非浸潤性乳管癌
    Ductal Carcinoma in Situ

    非浸潤性乳管癌

    非浸潤性乳管癌(乳管内癌とも呼ばれる)は,乳管内腔で悪性と考えられる細胞がクローン性に増殖するもので,上皮基底膜を超えて浸潤するという証拠はないが,浸潤性乳癌の前駆病変である.この 20 年間で,スクリーニングにマンモグラフィが広く使用されるようになり,非浸潤性乳管癌の検出率は飛躍的に向上している.大規模なコホート研究や無作為試験からは,治療の指針となるデータが得られている.この総説では,非浸潤性乳管癌の理解,発症機序,治療における進展が簡潔に述べられている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • アカダイかそれともカニか?
    Red Snapper or Crab?

    フィリピン出身の 68 歳の男性が,3 ヵ月にわたる労作時呼吸困難と起座呼吸の増悪で受診した.男性はまた,意図しない 7 kg(15 lb)の体重減少,寝汗,腹部膨満を訴えた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 癌に到達する
    Getting Through to Cancer

    免疫系を微調整することで癌を治療する実験的方法は 2 通り存在するが,いずれも T リンパ球の腫瘍への到達に依存している.マウスモデルを用いた最近の研究で,その到達可能性の重要性が立証されており,双方の取り組みとの関連が示されている.