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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 16, 2004
Vol. 351 No. 12

ORIGINAL ARTICLE

  • 重病の子供と死について話す
    Talking about Death with Severely Ill Children

    癌で子供を亡くしたスウェーデン人の親 400 人以上に,死について子供と話したかどうかを尋ねた.死について話した親のうち,話したことを後悔している人はいなかった.対照的に,死について子供と話さなかった親の 1/4 以上,とくに,子供が自分の差し迫った死に気付いていると感じていた親は,話さなかったことを後悔していた.
    この研究は,末期癌の小児とその親をケアする医師に重要な指針を提供している.死が目前に迫った子供と死について話すことは,親にとって,そしておそらくは子供自身にとっても有益となる可能性がある.

  • 自己口腔粘膜上皮による角膜再生
    Corneal Reconstruction with Autol- ogous Oral Mucosal Epithelium

    自己口腔粘膜上皮による角膜再生

    角膜幹細胞が完全に消失し,重度の角膜混濁のため視力が低下した患者 4 例が,角膜表層を再生するため,担体を利用しない自己口腔粘膜上皮細胞シートの移植を受けた.4 例(4 眼)とも角膜の透明性が回復し,視力が改善した.自己口腔粘膜上皮から組織工学的に作製した培養上皮細胞シートによる角膜再生は,両眼の角膜表層に重度の障害がある患者の視力を回復させる可能性がある.

  • WPW 症候群の小児における高周波アブレーション
    Radiofrequency Ablation in Children with the Wolff- Parkinson-White Syndrome

    無症候性 WPW 症候群の小児には,頻拍性不整脈と突然死のリスクが高い者がいる.これらの小児では電気生理学的検査で頻拍性不整脈が誘発されるため,リスクの高い小児を同定することができる.この無作為臨床試験では,このような小児で,副伝導路の高周波カテーテル・アブレーションが有益であることが判明した.
    この研究結果は,小児における高リスクの無症候性 WPW 症候群の管理を変えるであろう.

  • HBeAg 陰性の慢性 B 型肝炎における PEG インターフェロン α-2a 単独またはラミブジンとの併用とラミブジン単独との比較
    Peginterferon Alfa-2a Alone or in Combination with Lamivudine versus Lamivudine Alone in HBeAg- Negative Chronic Hepatitis B

    B 型肝炎 e 抗原(HBeAg)陰性の慢性 B 型肝炎患者において,48 週間の治療と 24 週間の追跡期間後, B 型肝炎ウイルス DNA 濃度が 20,000 コピー/mL 未満に抑制されていた割合は,PEG インターフェロン α-2a 単独投与群で 43%,PEG インターフェロン α-2a+ラミブジン群で 44%,ラミブジン単独投与群で 29%であった.400 コピー/mL 未満に抑制されていた割合は,それぞれ 19%,20%,7%であった.
    HBeAg 陰性の慢性 B 型肝炎に対して,PEG インターフェロン α-2a はラミブジンよりも有効であった.PEG インターフェロン α-2a にラミブジンを併用しても,奏効率は向上しなかった.大部分の患者では,PEG インターフェロン α-2a による治療完了後 24 週間の時点でウイルス抑制はみられなかった.

CURRENT CONCEPTS

  • 膵臓の嚢胞性腫瘍
    Cystic Neoplasms of the Pancreas

    画像診断技術の進歩により,症状のない患者でも,膵臓に嚢胞性病変が発見される機会が多くなっている.こういった病変は,良性のものから,前癌状態,悪性度の高いものまでさまざまである.この総説では,診断を確定し,リスクを評価し,外科的切除が必要となる時期に関してむずかしい判断を下すための戦略に関する手引きを提供している.

MEDICAL PROGRESS

  • ターナー症候群
    Turner's Syndrome

    ターナー症候群の小児のほとんどは専門医のケアを受けているが,この論文の著者らは,ターナー症候群に罹患している女性の大半については,専門医へ紹介する必要性があるかどうか情報に基づいて判断したうえで,プライマリケア医の治療を受けるのが最適である可能性を示唆している.この論文では,ターナー症候群の遺伝学,診断,管理における最近の概念を概説している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 急な胸痛の発症後に発熱した女性
    A Woman with Acute Onset of Chest Pain Followed by Fever

    大動脈弁狭窄と冠動脈疾患の既往がある 75 歳の女性が,就寝中,胸痛で目を覚ました.心電図には,ST 部分の低下がみられ,トロポニン T 濃度が上昇していた.胸痛は消退したが,発熱が認められた.血液培養は Streptococcus milleri 群陽性で,抗菌薬治療にもかかわらず熱は続いた.心臓病専門医,感染症専門医,心臓外科医が,この症例の診断と管理について述べている.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 筋ジストロフィーの治療
    Treatment of the Muscular Dystrophies

    いくつかの型の先天性筋ジストロフィーは,糖転移酵素遺伝子の変異によって起る.最近の研究で,特定の糖転移酵素の過剰発現により,他の変異糖転移酵素によって生じる欠損が補われることが明らかになっている.このことから,ただ 1 つの治療方法が,さまざまな型の筋ジストロフィーの治療に利用できるのではないかという期待が高まっている.