The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

July 8, 2004
Vol. 351 No. 2

ORIGINAL ARTICLE

  • 術前の PSA の経時的変化率と根治的前立腺切除後の前立腺癌死亡のリスク
    Preoperative PSA Velocity and the Risk of Death from Prostate Cancer after Radical Prostatectomy

    術前の PSA の経時的変化率と根治的前立腺切除後の前立腺癌死亡のリスク

    この前向き研究では,根治的前立腺切除後の前立腺癌死亡のリスクは,前立腺癌診断前の 1 年間における前立腺特異抗原(PSA)値の上昇率(PSA 経時的変化率),診断時の PSA 値,腫瘍の臨床病期,グリーソンスコアに関連することが明らかにされた.診断の前年に PSA 値の上昇が 2.0 ng/mL を超えている場合,根治的前立腺切除を受けても死亡リスクが高くなることが示された.
    これらの結果が確認されれば,前立腺癌の診断後に医師と患者が最良の治療選択肢を決めるさいに役立つであろう.

  • 双胎間輸血症候群に対するレーザー治療と羊水除去の比較
    Laser Surgery vs. Amnioreduction for Twin-Twin Transfusion Syndrome

    妊娠中期に重症双胎間輸血症候群を合併した女性に関する無作為試験では,羊水除去(繰り返し行う羊水の大量除去)よりも胎児鏡下レーザー治療(胎盤の吻合血管の凝固)のほうが,少なくとも一方の胎児が生存する確率が有意に高く,月齢 6 ヵ月の時点で神経学的異常のみられる割合も低かった.
    吻合血管の内視鏡下レーザー焼灼は,連続的羊水除去と比較して,重症双胎間輸血症候群の転帰を改善する可能性がある.

  • ALL 患児におけるドキソルビシン誘発性心筋傷害の予防を目的としたデクスラゾキサン
    Dexrazoxane to Prevent Doxorubicin-Induced Myocardial Injury in Children with ALL

    ドキソルビシンは,小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の有効な治療法であるが,心筋細胞に対する毒性があり,心筋症の原因となりうる.この臨床試験では,フリーラジカルスカベンジャーのデクスラゾキサンにより,治療前,治療中,治療後の心筋トロポニン T 濃度で示される,ドキソルビシン誘発性心筋傷害が減少することが明らかになった.
    ドキソルビシン誘発性の心筋傷害は重大かつ長期にわたる影響を及ぼす可能性があるため,デクスラゾキサンの使用は,小児 ALL の管理における重要な進歩である.

BRIEF REPORT

  • 梅毒トレポネーマのマクロライド耐性
    Macrolide Resistance in Treponema pallidum

    梅毒トレポネーマのマクロライド耐性

    サンフランシスコの HIV 感染患者が,第 1 期梅毒を呈したためアジスロマイシンによる治療を受けたが,病変は消失しなかった.この症例報告の著者らは,アジスロマイシン耐性を確認し,梅毒トレポネーマ(T. pallidum)の 23S rRNA 遺伝子の変異を同定した.変異は,ボルティモア,シアトル,ダブリンで採取された検体でも確認された.

MECHANISMS OF DISEASE

  • 急性腎不全と敗血症
    Acute Renal Failure and Sepsis

    急性腎不全と敗血症

    急性腎不全と敗血症を併発すると,死亡率は 70%にもなる.この論文は,敗血症に関連した急性腎不全の発症機序の解明における,重要な進展について論じている.
    敗血症に関連した急性腎不全で想定されている病原因子に基づいた介入を行うことで,急性腎不全の発生率とそれに伴う死亡率の双方に,よい影響がもたらされる可能性がある.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • ホルモン療法抵抗性の転移性前立腺癌を有する男性
    A Man with Metastatic Prostate Carcinoma Refractory to Hormone Therapy

    この患者は 55 歳のときに受診し,泌尿器症状と前立腺特異抗原(PSA)値が上昇していることから前立腺癌が発見された.局所の放射線療法とアンドロゲン除去療法後,7 年間は健康であったが,その後 PSA 値が上昇し始め,転移病変が認められた.この患者のケアには,限局性・進行性で,ホルモン療法抵抗性の前立腺癌に対する治療法を検討する必要があった.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 機能不全に陥った心臓におけるカルシウム輸送
    Channeling Calcium in the Failing Heart

    機能不全に陥った心臓におけるカルシウム輸送

    変異マウスモデルを用いた最近の研究で,ある小分子が,長期のアドレナリン刺激の作用に抗してある重要なカルシウムチャネルを増強し,心室性不整脈を予防する可能性のあることが示されている.