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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
November 10, 2005
Vol. 353 No. 19
ORIGINAL ARTICLE
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ダウン症候群のリスク評価のためのスクリーニング
Screening for Evaluation of the Risk of Down's Syndromeダウン症候群のスクリーニングを目的としたさまざまな戦略を比較した大規模研究において,妊娠 11 週で行った第 1 三半期複合スクリーニング(胎児項部透過性,妊娠関連血漿蛋白 A [PAPP-A],遊離ヒト絨毛性ゴナドトロピン α サブユニット [fβhCG] の測定)は,第 2 三半期での 4 種類のスクリーニング(α-フェトプロテイン,hCG,非結合型エストリオール,インヒビン A の測定)よりも優れていた.第 1 三半期でのスクリーニングと第 2 三半期でのスクリーニングを併用する戦略は,検出率が高く,偽陽性率は容認できる範囲であった.これらの知見は,ダウン症候群に対するスクリーニング戦略を選択するうえで役立つであろう.
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EGFR キナーゼ阻害薬に対する膠芽腫の反応
Response of Glioblastomas to EGFR Kinase Inhibitors膠芽腫で,ゲフィチニブやエルロチニブ(チロシンキナーゼ阻害薬)に反応するのはごく一部である.これらの反応を示す腫瘍の中には,上皮成長因子受容体(EGFR)の変異体を有するものがあり,反応不良の腫瘍の中には,EGFR 変異体により活性化される経路の調節因子 PTEN が欠けているものがある.膠芽腫細胞において,EGFR 変異体と PTEN 変異体の共発現は,チロシンキナーゼ阻害薬に対する反応性と関連していた.
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中枢型睡眠時無呼吸と心不全に対する CPAP
CPAP for Central Sleep Apnea and Heart Failure中枢型睡眠時無呼吸は心不全患者によくみられ,この病態における死亡リスクを増大させる.カナダ中枢型睡眠時無呼吸および心不全患者に対する持続気道陽圧療法試験では,心不全患者に対して行った持続気道陽圧療法(CPAP)により,中枢型睡眠時無呼吸の重症度が低下し,左室駆出率が上昇したものの,生存率は改善しなかった.
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脳卒中および死亡の危険因子としての閉塞型睡眠時無呼吸
Obstructive Sleep Apnea as a Risk Factor for Stroke and Death閉塞型睡眠時無呼吸は,睡眠中に上気道が繰り返し閉塞する睡眠時呼吸障害である.観察コホート研究では,睡眠時無呼吸症候群の患者は,他の心血管危険因子とは独立して,脳卒中および全死因死亡のリスクが有意に高かった.睡眠時無呼吸の重症度が高いことは,リスクの増加と関連していた.
MECHANISMS OF DISEASE
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酸素感知機構
Oxygen-Sensing Mechanismsこの総説では,さまざまな臓器が酸素圧の急激な変化を感知し,対応する仕組みの解明における最近の進展について論じている.一群の特殊化した組織が,酸素圧のわずかな変化にも迅速に対応する酸素感知機構を構成している.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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水疱性の皮膚発疹と急性呼吸不全を呈する女児
A Girl with a Bullous Skin Eruption and Acute Respiratory Failure10 歳の女児が,てんかん発作に対してカルバマゼピンを投与されたあとに発疹を発症した.発疹は融合して水疱を生じ,皮膚脱落を伴った.続いて口腔粘膜と結膜が脱落し,汎血球減少,消化管出血,呼吸不全が発現した.熱傷治療室での長期にわたる治療後,再上皮化が起り,患児は完全に回復した.
SOUNDING BOARD
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医療情報の利他主義者
Health-Information Altruistsわれわれはヒトゲノムの塩基配列の決定には成功したものの,疾患の遺伝的基盤の解明については,遺伝子型の情報と表現型の情報を提供する意思のある人が限られているため,あまりすすんでいない.この論文で著者らは,遺伝子研究への参加をふやすための提案を行っている.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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ある種の共生細菌と免疫
Of Commensal Bacteria and Immunity共生細菌の表面にみられるある分子が,免疫系の発達にきわめて重要な役割を果している.