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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 9, 2006
Vol. 354 No. 10

ORIGINAL ARTICLE

  • HBeAg 陽性の慢性 B 型肝炎に対するエンテカビルとラミブジンの比較
    Comparison of Entecavir and Lamivudine for HBeAg-Positive Chronic Hepatitis B

    HBeAg 陽性の慢性 B 型肝炎患者を対象としたこの無作為化試験では,エンテカビルは,ラミブジンと比較して,より良好な組織学的,生化学的,ウイルス学的反応と関連していた.有害事象は両群間で類似しており,この 48 週間の試験では,ウイルスにエンテカビル耐性は生じなかった.有害作用とウイルスのエンテカビル耐性を評価するには,より長期的な試験が必要である.

  • HBeAg 陰性の慢性 B 型肝炎に対するエンテカビルとラミブジンの比較
    Comparison of Entecavir and Lamivudine for HBeAg-Negative Chronic Hepatitis B

    HBeAg 陰性の慢性 B 型肝炎患者を対象としたこの無作為化試験は,HBeAg 陽性の慢性 B 型肝炎患者を対象としたもう 1 つの試験と同じデザインで実施され,同様の知見が得られた.組織学的,生化学的,ウイルス学的反応は,エンテカビルのほうがラミブジンよりも優れていた.

  • 多発性骨髄腫に対するサリドマイドと造血細胞移植
    Thalidomide and Hematopoietic-Cell Transplantation for Multiple Myeloma

    大量化学療法+自己造血幹細胞移植による多発性骨髄腫の治療に関するこの無作為化試験では,サリドマイドを加えることにより,完全寛解率と無イベント生存率は改善したが,全生存率は改善しなかった.

SPECIAL ARTICLE

  • テキサス州における親通知法施行後の出産率と中絶率
    Birth and Abortion Rates in Texas after Enforcement of a Parental Notification Law

    著者らは,未成年者の中絶を親に通知することを義務付ける法律が施行された後の,テキサス州の中絶率と出産率の変化を評価した.親通知法(Parental Notification Law)は,受胎時に 18 歳であった 10 代における変化と比較し,受胎時に 15~17 歳であった 10 代の中絶率の低下と,受胎時に 17.50~17.74 歳であった 10 代の出産率と妊娠第 2 期での中絶率の上昇に関連していた.

CLINICAL PRACTICE

  • 上室性頻拍
    Supraventricular Tachycardia

    28 歳の女性が,チェロを演奏中に突然動悸が速くなり,眩暈を起した.女性は救急部に搬送された.女性は,190 拍/分の微弱な整脈で,血圧は 82/54 mmHg である.心臓血管検査では心不全の徴候は認められない.心電図では規則的な頻脈が認められ,QRS 幅は狭く,明らかな P 波はない.この症例をどのように管理すべきであろうか?

MEDICAL PROGRESS

  • 災害後の挫滅に関連した損傷の管理
    Management of Crush-Related Injuries after Disasters

    地震などの大規模災害後の急性腎不全は,挫滅損傷の合併症のうち,生命を脅かす数少ない合併症の 1 つであるが,治療によって回復可能である.この論文では,このような合併症の治療の国際的な連携と地域連携の双方に関連する可能性のある,医療の救命に関する側面について,トルコのマルマラ地震やイランのバム地震などの災害における著者らの経験に基づいて考察している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 精神状態の変調と急性腎不全をきたした男性
    A Man with Altered Mental Status and Acute Renal Failure

    47 歳の男性が,精神状態の変調と急性腎不全のため救急部に移送された.その約 13 時間前に嗜眠が発現し,進行して無反応となった.男性は気道挿管を受けていた.また,アシドーシスとクレアチニン値の上昇が認められた.全身性強直間代発作が発現した.血清と尿の毒物スクリーニングは陰性であった.尿検体には多数の針状結晶が含まれていた.

LEGAL ISSUES IN MEDICINE

  • 連邦議会,規制薬物,そして医師による自殺幇助 ―“ネズミの穴にゾウ”
    Congress, Controlled Substances, and Physician-Assisted Suicide ― Elephants in Mouseholes

    2006 年 1 月に米最高裁は,みずからの生命を終らせたいと願う末期患者を幇助するために,オレゴン州の医師が薬剤を処方することを,司法長官が禁じる権限はないとの判決を下した.この論文では,George Annas が最高裁の判決を概説し,その意義を論じている.