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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 7, 2006
Vol. 355 No. 10

ORIGINAL ARTICLE

  • 非小細胞肺癌における ERCC1 の発現と補助化学療法
    ERCC1 Expression in Non-Small-Cell Lung Cancer and Adjuvant Chemotherapy

    非小細胞肺癌に対するシスプラチンベースの補助化学療法に関する臨床試験で,この治療を受けた患者の腫瘍標本を,シスプラチンによって生じる DNA 損傷の修復に関与する酵素である,ERCC1 の存在について解析した.腫瘍に ERCC1 が存在しない患者では,シスプラチンベースの補助化学療法による延命効果がみられたのに対し,ERCC1 を発現していた患者ではこの化学療法は有効ではなかった.

  • 可溶性エンドグリンと妊娠高血圧腎症
    Soluble Endoglin and Preeclampsia

    このコホート内症例対象研究は,妊娠高血圧腎症を予防するためのカルシウム試験に登録された,健常な未経産婦を対象に行われた.抗血管新生作用をもつ蛋白である可溶性エンドグリンの血中濃度は,妊娠高血圧腎症を発症する 2~3 ヵ月前に大きく上昇し,通常,それに伴い胎盤成長因子と別の抗血管新生蛋白である可溶性 fms 様チロシンキナーゼ 1 の血中濃度が上昇したことが示されている.これらの研究は,これらのマーカーを測定することで,妊娠高血圧腎症のリスクが高い女性を同定する手段が得られるかどうかを判断する前向き研究の基礎となるものである.

  • 待機的 PCI におけるエノキサパリンと未分画ヘパリンの比較
    Enoxaparin versus Unfractionated Heparin in Elective PCI

    未分画ヘパリンは,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)中に用いられる標準的な抗凝固薬である.この試験では,PCI を受ける患者を対象として,用量を調節した未分画ヘパリンとエノキサパリンの有効性を比較した.エノキサパリンは重大な出血の発生率を有意に低下させた.この試験では,冠動脈イベントの予防における有効性を明確に評価することはできなかった.

BRIEF REPORT

  • 抗 CD28 モノクローナル抗体 TGN1412 の第 1 相試験におけるサイトカインストーム
    Cytokine Storm in a Phase 1 Trial of the Anti-CD28 Monoclonal Antibody TGN1412

    第 1 相臨床試験において,6 人の男性健常ボランティアに対し,スーパーアゴニストである抗 CD28 モノクローナル抗体 0.1 mg/kg 体重が投与された.予想に反し,6 人のボランティア全員に,多臓器不全を特徴とする一過性の重症疾患が発現した.これらのイベントは,基礎疾患をもたない患者における特定の型のサイトカイン放出症候群に関する見解を与えるものである.

CLINICAL PRACTICE

  • 社会不安障害
    Social Anxiety Disorder

    28 歳の男性が,10 代前半から,学校,職場,社会的状況では,人前で不安を感じたりあがったりすると訴えている.男性は内気そうにみえ,質問したところ,職場の会議で意見をいうこと,社会的集まりへ参加すること,そして異性と交際することを避けていると話している.男性はもっと社会的に積極的になりたいと切実に望んでいるが,自分が神経質そうにみえることや恥ずかしい思いをすることを恐れている.この男性をどのように評価し,治療すべきであろうか?

MECHANISMS OF DISEASE

  • 癌遺伝子誘導型の細胞老化 ― 癌への途上で止める
    Oncogene-Induced Cell Senescence ― Halting on the Road to Cancer

    癌遺伝子誘導型の細胞老化に関するこの総説では,癌を予防する生理学的メカニズムについて述べている.良性または前癌状態の新生物の増殖停止の基礎にあるメカニズムは,臨床上重要な意義をもつ.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 目に見える以上のもの
    More Than Meets the Eye

    61 歳の女性が,2 日間にわたる動悸と呼吸困難のため入院した.速い心室応答を伴う心房細動が見つかり,ジルチアゼムの静脈内投与とヘパリン注入が開始された.状態は改善したが,入院 3 日目に脱力感と悪心を訴え,暗赤色の尿が出始めた.尿道カテーテルは留置しておらず,動悸,呼吸困難,背部痛,腹痛,排尿困難,眩暈はなかった.