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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 7, 2007
Vol. 356 No. 23

ORIGINAL ARTICLE

  • AA アミロイドーシスに対するエプロディセート
    Eprodisate for AA Amyloidosis

    慢性炎症性疾患の合併症であるアミロイド A(AA)アミロイドーシスは,血清アミロイド A 蛋白の分解物がアミロイド線維として組織に沈着することで発症する.このプラセボ対照試験では,腎障害をきたした AA アミロイドーシス患者において,アミロイド線維の重合と組織への沈着を抑制する小分子,エプロディセート(eprodisate)の効果を検討した.プラセボと比較して,この薬剤は腎機能の低下を遅延させた.エプロディセートは,アミロイド原性蛋白とグリコサミノグリカンの相互作用を妨げる,新規クラスの化合物の 1 つである.

  • 全身性 AA アミロイドーシス患者の転帰
    Outcome in Patients with Systemic AA Amyloidosis

    この研究では,アミロイド A アミロイドーシスの患者 374 例を対象に,臨床的特徴,臓器機能,生存期間を評価した.診断後の生存期間の中央値は 133 ヵ月で,腎機能障害が主な症状であった.死亡率,アミロイド量,腎予後はいずれも,追跡調査期間中の血清アミロイド A 濃度と有意に相関した.

  • 副腎皮質癌に対するミトタンによるアジュバント療法
    Adjuvant Mitotane for Adrenocortical Carcinoma

    この後ろ向き分析では,再発リスクの高い副腎皮質癌において,無再発生存期間の延長に関してミトタンによるアジュバント療法の有効性を評価した.生存期間は,ミトタン投与患者のほうが非投与患者よりも有意に長かった.副腎皮質癌の根治術を受けた患者にアジュバント療法としてミトタンを投与すると,無再発生存期間が延長する可能性がある.

BRIEF REPORT

  • 新たに認められたバルトネラ種による菌血症,発熱,および脾腫
    Bacteremia, Fever, and Splenomegaly Caused by a Newly Recognized Bartonella Species

    ペルー旅行から帰国した 43 歳の女性に,発熱,発疹,脾腫が発現し,原因菌として新たなバルトネラ種が同定された.

SPECIAL ARTICLE

  • 米国における 1980~2000 年の冠動脈性疾患による死亡率低下の要因
    Explaining the Decrease in U.S. Deaths from Coronary Disease, 1980-2000

    米国における冠動脈性心疾患による死亡率は,ここ数十年のあいだに大幅に低下している.妥当性が確認されているモデルを用いて,心疾患に特異的な治療や危険因子の変化がこの低下に果す役割を評価した.死亡率低下の約 47%は治療的介入に起因し,44%は危険因子の変化に起因した.

CURRENT CONCEPTS

  • 乳癌の局所療法と生存
    Local Therapy and Survival in Breast Cancer

    乳癌については,後に拡大する限局性疾患であると考えている研究者もいれば,発生時からの全身性疾患であると考えている研究者もいる.初期の局所管理に失敗すると,一部の腫瘍では後の播種につながり,患者の長期生存率を低下させるため,この総説ではさらに別の見解について論じている.最近のエビデンスは,乳癌に対する積極的な局所療法が果す,より大きな役割を支持している.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 手を診てする診断
    A Hand-Carried Diagnosis

    34 歳の黒人女性が,3 日間続く倦怠感のためウォークイン・クリニックを受診した.女性の同僚は,数日前から女性の眼球黄染に気づいていた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 関節リウマチの炎症を媒介する
    Mediating Inflammation in Rheumatoid Arthritis

    滑膜の完全性は,接着分子であるカドヘリン-11 に依存している.この分子が欠損したマウスは,誘発した炎症性関節炎に抵抗性を示す.