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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 8, 2007
Vol. 356 No. 6

ORIGINAL ARTICLE

  • 多嚢胞性卵巣症候群による不妊症に対するクロミフェン,メトホルミン,および両剤併用の比較
    Clomiphene, Metformin, or Both for Infertility in the Polycystic Ovary Syndrome

    この多施設共同無作為化試験では,多嚢胞性卵巣症候群の不妊症の女性を対象に,クエン酸クロミフェン+プラセボ,メトホルミン+プラセボ,クロミフェンとメトホルミンの併用の効果を比較した.生児出生率は,クロミフェンでメトホルミンよりも有意に高かったが,両剤併用とクロミフェン単独では有意差はなかった.クロミフェンに関連して多胎分娩がみられたが,頻度は低かった.これらのデータは,多嚢胞性卵巣症候群の女性の不妊症治療において,メトホルミンよりもクロミフェンの使用を支持するものである.

  • 肺胞蛋白症における GM-CSF 自己抗体と好中球機能障害
    GM-CSF Autoantibodies and Neutrophil Dysfunction in Pulmonary Alveolar Proteinosis

    感染症,とくに日和見感染微生物による感染は,肺胞蛋白症の顕著な特徴である.肺外感染は,全身の感染抵抗性の低下を示唆する.著者らは,肺胞蛋白症の患者では好中球機能(貪食能,接着,活性酸素発生,殺菌活性)が低下し,顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)に対する自己抗体がその原因であることを示している.この知見は,GM-CSF が好中球の抗菌活性に不可欠な因子であることを明確に示すものである.

  • 乾癬治療におけるインターロイキン 12/23 モノクローナル抗体
    Interleukin-12/23 Monoclonal Antibody for the Treatment of Psoriasis

    1 型サイトカインは乾癬の紅斑で過剰発現する.この試験では,乾癬患者を対象に,インターロキン 12 およびインターロイキン 23 に対するモノクローナル抗体を評価した.12 週の時点での奏効率は,インターロイキン 12/23 モノクローナル抗体投与患者のほうがプラセボ投与患者よりも有意に高かった.重篤な有害事象は,インターロイキン 12/23 モノクローナル抗体投与患者の 4%と,プラセボ投与患者の 1%で認められた.乾癬に対するインターロイキン 12/23 モノクローナル抗体の有効性と安全性を検証するために,より長期にわたる大規模な試験を実施する必要がある.

SPECIAL ARTICLE

  • 宗教と良心,および意見の分かれる臨床診療
    Religion, Conscience, and Controversial Clinical Practices

    この調査結果から,ほとんどの臨床医が,終末期のセデーション,中絶,保護者の同意を得ないでの青少年への避妊薬の処方などの処置に対する自身の道徳的反対を患者に説明することは,倫理的に許されると考えていることが明らかにされた.これらの処置について,患者にすべての情報を開示する義務があるとは考えていない医師も多かった.

CLINICAL PRACTICE

  • 偶然発見された副腎腫瘍
    The Incidentally Discovered Adrenal Mass

    68 歳の女性に,右下腹部の不快感(不快感はその後消失した)を評価するために行った腹部 CT で,直径 2.8 cm の左副腎腫瘍が偶然発見された.女性の病歴で著明なものは高血圧症のみで,高血圧症は 1 日 25 mg のヒドロクロロチアジドで良好にコントロールされている.女性は,発汗,動悸,頭痛,体重増加,隣接部位の筋力低下は訴えていない.身体診察でも顕著な所見はみられなかった.この女性をどのように評価すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 眩暈と運動失調が急速に進行した 56 歳の女性
    A 56-Year-Old Woman with Rapidly Progressive Vertigo and Ataxia

    56 歳の女性に,眩暈と悪心が出現し,その後言語不明瞭と運動失調を呈して 2 ヵ月後には歩行できなくなった.神経学的検査により重度の運動失調が明らかになった.脳の画像検査では局所性の実質病変や血管閉塞はみられず,小脳萎縮が認められた.診断検査が行われた.

HEALTH POLICY REPORT

  • 非営利病院に対する法的監視
    Legal Oversight of Nonprofit Hospitals

    非営利病院は,税の免除と引き換えに慈善事業の運営に同意している.病院に対する財政的圧力が強まるにつれ,非営利病院の経営上の意思決定は,米国の内国歳入庁,各州の司法長官,そして患者によって問題視されるようになってきた.保険未加入の患者は,非営利病院はその慈善的使命を放棄していると主張し,保険未加入者に不当に高い請求をし,支払えない場合には強引な債権回収策をとっていると集団訴訟を起している.