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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
November 1, 2007
Vol. 357 No. 18
ORIGINAL ARTICLES
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大腿骨頸部骨折後の死亡率の低下におけるゾレドロン酸
Zoledronic Acid in Reducing Mortality after Hip Fracture大腿骨頸部骨折後の 1 年では死亡率が上昇するため,転帰を改善する戦略が必要とされている.この無作為化二重盲検プラセボ対照試験では,ビスホスホネート製剤の経口投与が不可能な患者,または望まない患者において,大腿骨頸部骨折の外科的修復後 90 日以内に初回投与する年 1 回のゾレドロン酸静脈内投与とプラセボを比較した.ゾレドロン酸は,臨床症状を伴う新規の骨折の相対リスクおよび全死因死亡率の低下と関連していた.
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経口フッ化ピリミジン系薬剤 S-1 を用いた胃癌に対する補助化学療法
Adjuvant Chemotherapy for Gastric Cancer with S-1, an Oral Fluoropyrimidineこの試験では,D2 リンパ節郭清を伴った胃切除術が施行された日本人胃癌患者に対する術後補助療法において,細胞内でフルオロウラシルに転換される経口プロドラッグである S-1 の有効性が検討された.術後 1 年間にわたる S-1 投与により,手術単独群に比べ全生存期間が延長した.この試験の重要な特徴は,西洋諸国では通常行われていない D2 郭清が行われた点にある.
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一般集団における脳 MRI の偶発的所見
Incidental Findings on Brain MRI in the General Population45 歳以上の対象者 2,000 例を対象に,住民ベースの前向きコホート研究の一環として磁気共鳴画像検査(MRI)を実施した本研究では,対象者の 7.2%で無症候性脳梗塞,1.8%で脳動脈瘤,1.6%で良性原発腫瘍が発見された.脳 MRI における偶発的所見はめずらしいものではない.
BRIEF REPORT
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脳における体外離脱体験を視覚化する
Visualizing Out-of-Body Experience in the Brain難治性耳鳴のある患者の右側頭頭頂接合部(TPJ)に取り付けた電極に刺激を与えるたび,耳鳴は軽減しなかったが,自分が自分の体の外にいるという感覚(体外離脱体験)を患者は一貫して覚えた.陽電子放射断層撮影(PET)により,この体験中に活性化されている脳の領域が特定された.
CLINICAL PRACTICE
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患者の治療への同意能力の評価
Assessment of Patients' Competence to Consent to Treatment2 型糖尿病と末梢血管障害を有する 75 歳の女性が,左足の壊疽性潰瘍で入院した.下腿切断が勧められたが,女性は,十分に長生きしたし五体満足で死にたいと,治療を断った.担当の内科医はこの 1 年で錯乱が悪化していることを懸念しており,女性が抑うつ状態にあると考えられることを指摘した.女性の判断が有効かどうか,主治医はいかにして判断すべきであろうか?
MECHANISMS OF DISEASE
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ロイコトリエン
Leukotrienes広範な臨床効果を有する脂質メディエータであるロイコトリエン,およびロイコトリエン受容体に関するこの総説では,これらの分子の生化学的側面と生理学的側面について考察し,喘息やその他の疾患におけるその役割を検討し,ロイコトリエン拮抗薬の薬理作用について解説する.
CLINICAL PROBLEM-SOLVING
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年齢は無関係
No Respecter of Age8月末,それまでは健康であった 65 歳の女性が,3 週間前に右下肢にできた「斑」の評価を受けるため,プライマリケア医のもとを訪れた.1 週間後,皮膚病変は消失したが,倦怠感と広範な関節痛が出現し,徐々に悪化してきたため,再び訪れた.痛みは頸部,肩関節,手・手関節,膝関節,足関節に現れ,日常生活に支障をきたすほど激しく,こわばりを伴った.