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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 15, 2007
Vol. 357 No. 20

ORIGINAL ARTICLES

  • 急性冠症候群に対するプラスグレルとクロピドグレルの比較
    Prasugrel vs. Clopidogrel in Acute Coronary Syndromes

    アスピリンとチエノピリジン系薬剤による抗血小板療法は,急性冠症候群の管理において重要な役割を果たしている.この試験では,冠動脈インターベンションを施行予定の急性冠症候群患者を対象に,強力な新規チエノピリジン(プラスグレル)と標準的チエノピリジン(クロピドグレル)を比較した.プラスグレルのほうが心血管系の転帰は優れていたが,致死的な出血など,出血が多くみられた.

  • 重症喘息患者におけるキチナーゼ様蛋白質
    A Chitinase-like Protein in Patients with Severe Asthma

    加水分解酵素ファミリーであるキチナーゼは,喘息の動物モデルと関連することが示されている.この断面研究では,3 つの喘息患者コホートを対象として,ヒトキチナーゼ様蛋白質である YKL-40 の循環血中濃度を調べた.対照者と喘息患者とのあいだに重なりはみられたものの,循環血中 YKL-40 濃度は平均して喘息患者のほうが高く,もっとも重症の患者で最高値を示した.

  • グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症に対するテリパラチドとアレンドロネートの比較
    Teriparatide or Alendronate in Glucocorticoid-Induced Osteoporosis

    この研究では,グルココルチコイドの投与を 3 ヵ月以上受けている骨折リスクの高い患者を対象に,蛋白同化作用薬であるテリパラチドとアレンドロネートを比較する 18 ヵ月間の無作為化二重盲検対照比較試験を行った.骨塩密度の増加はアレンドロネート投与患者よりもテリパラチド投与患者のほうが大きかったが,カルシウム高値の頻度はテリパラチド群のほうが高かった.テリパラチドは,グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症患者に対して有益である可能性がある.

  • 結腸直腸癌の治療のためのセツキシマブ
    Cetuximab for the Treatment of Colorectal Cancer

    上皮成長因子受容体(EGFR)に対するキメラモノクローナル抗体であるセツキシマブを用いた結腸直腸癌治療に関するこの非盲検試験では,EGFR を発現し,ほかの治療が奏効しなかった結腸直腸癌患者において,全生存期間と無増悪生存期間が,セツキシマブ治療群で対症療法単独群よりも優れていることが示された.

SPECIAL ARTICLE

  • 医学部における特許取得の分析
    The Anatomy of Medical School Patenting

    大学附属医療機関の教員による特許取得に関するこの研究から,1981~2000 年のあいだに特許取得活動が大幅に増加したことが示された.医学部の教員が特許取得者である傾向は,博士号を有し,最近米国国立衛生研究所から助成を受けた場合に強かった.

CLINICAL PRACTICE

  • 憩室炎
    Diverticulitis

    それまで健康であった 45 歳の男性が,左下腹部の重度の疼痛で来院した.腹痛は 36 時間前に発症した.以前から,この部位に軽度の不快感を周期的に感じていたが,治療を受けてはいなかった.悪心,食欲不振,経口摂取に伴う嘔吐も訴えている.身体診察では体温 38.5℃,心拍数 110 回/分であった.左腹部に圧痛を認めるが,腹膜症状はみられない.この症例をどのように管理すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 炎症性腸疾患,発熱,血性下痢を呈する男性
    A Man with Inflammatory Bowel Disease, Fever, and Bloody Diarrhea

    炎症性腸疾患の既往のある 30 歳のモロッコ人男性が,発熱,腹痛,血性下痢のため入院した.男性が最後にモロッコに行ったのは,入院する 5 ヵ月前であった.入院時の体温は 40.5℃,心拍数は 70回/分であった.血中に異型リンパ球の増加がみられ,血清アミノトランスフェラーゼ値がわずかに上昇していた.診断手技が行われた.