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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
January 31, 2008
Vol. 358 No. 5
ORIGINAL ARTICLES
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米国のイラク帰還兵における軽度外傷性脳損傷
Mild Traumatic Brain Injuries in U.S. Soldiers Returning from Iraqイラクで兵役に就いた兵士を対象としたこの調査では,兵士の約 15%が脳振盪を報告した.脳振盪は,軽度外傷性脳損傷(短時間の意識消失または錯乱をもたらす損傷)としても知られる.軽度外傷性脳損傷を受けた兵士は,その他の損傷を受けた兵士よりも,心的外傷後ストレス障害および身体的な健康問題を有する傾向が強かった.
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腹部大動脈瘤に対する血管内治療と開腹手術の比較
Endovascular vs. Open Repair of Abdominal Aortic Aneurysms血管内治療は腹部大動脈瘤の管理において,開腹手術よりも侵襲性の低い方法である.大規模なメディケア集団を対象としたこの観察研究から,周術期生存率は血管内治療のほうが優れているものの,この生存に対する利益は 3 年間で徐々に低下することが示された.この生存に対する利益は,高齢患者のほうが長期に及ぶ.
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サッカーワールドカップ開催中の心血管イベント
Cardiovascular Events during World Cup Soccerこの研究報告によると,ドイツで 2006 年に開催されたワールドカップ本大会中に,激しい接戦を観戦していた人において,心血管イベントのリスクが増加した.このデータは,ストレスの大きい状況における心血管イベントのリスクをさらに裏付けるものである.
SPECIAL ARTICLE
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イラクにおける暴力による死亡者の数
Mortality from Violence in Iraqイラクにおけるこの全国的世帯調査では,2003 年の侵攻以後,イラクにおける暴力に関連した死亡者数は 151,000 人と推定された(95%信頼区間 104,000~223,000).この推定数はほかの最近の報告で示された推定数よりも少ないが,それでもこの推定数は,戦争で疲弊したこの国に,暴力による死亡者が大勢いることを示している.
CLINICAL THERAPEUTICS
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腹部大動脈瘤の血管内治療
Endovascular Repair of Abdominal Aortic Aneurysm72 歳の男性で直径 5.7 cm の腹部大動脈瘤が発見され,血管内治療が検討されている.腹部大動脈瘤の治療に腹部大動脈ステントグラフトを使用した場合,開腹手術に比べて早期の死亡率は低いが,再介入が必要となるリスクが高く,長期転帰が明らかではない.
MOLECULAR ORIGINS OF CANCER
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癌遺伝子と癌
Oncogenes and Cancer癌の生物学に関するシリーズの第 1 回目であるこの総説は,癌細胞内の癌遺伝子,癌抑制遺伝子,マイクロ RNA(miRNA)遺伝子を包括的に概説したものである.最近,悪性細胞内に発見された miRNA 遺伝子に関する研究により,癌遺伝子と癌抑制遺伝子の制御における新たな複雑性が明らかにされ,癌治療のための新たな機会が示されている.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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左乳房の腫脹と息切れを呈した 33 歳の妊婦
A 33-Year-Old Pregnant Woman with Swelling of the Left Breast and Shortness of Breath33 歳の妊婦が,左乳房の腫脹,息切れ,頻脈のため,妊娠 30.7 週で入院した.左乳房の腫脹は妊娠 26.1 週で発現し,抗菌薬の投与を行っても改善しなかった.超音波検査とマンモグラフィ検査により,乳腺密度の増加を伴う左乳房の腫脹がみられたが,腫瘤はなかった.生検が行われた.息切れが発現し,患者は入院した.胸部 CT で,縦隔に大きな腫瘤があることが明らかになった.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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炎症性腸疾患を理解する
Understanding Inflammatory Bowel Disease遺伝子操作されたマウスを用いた実験により,粘膜周辺の腫瘍壊死因子αが,炎症性腸疾患に関連する微生物叢の発現に影響を及ぼすことが示されている.