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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
February 21, 2008
Vol. 358 No. 8
ORIGINAL ARTICLES
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冠動脈バイパス術中のアプロチニン投与と死亡リスク
Aprotinin during Coronary-Artery Bypass Grafting and Risk of Deathアプロチニン(トラジロール)は冠動脈バイパス術(CABG)中の出血を制御するために用いられるが,この観察研究では,アプロチニンを使用した際の院内死亡のリスクはアミノカプロン酸の使用時よりも高かった.このデータは本誌本号の Shaw らのデータと一致しており,先行研究のデータと共に,CABG 施行患者にアプロチニンを使用することの安全性に異議を唱えるものである.
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アプロチニンが冠動脈バイパス術後の転帰に及ぼす影響
The Effect of Aprotinin on Outcome after Coronary-Artery Bypass Graftingこの単一施設研究では,冠動脈バイパス術(CABG)施行時のアプロチニンの使用は,死亡率の上昇と腎機能の悪化に関連することが示された.この結果は,本誌本号の Schneeweiss らの結果と一致しており,この 2 つの研究は共に,CABG 中に使用するアプロチニンの安全性に対して懸念を提起するものである.
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腰部脊柱管狭窄症に対する外科的治療と非外科的治療の比較
Surgical versus Nonsurgical Treatment for Lumbar Spinal Stenosis脊柱管狭窄症は,65 歳を超える患者の脊椎手術の理由としてもっとも頻度が高い.この無作為化臨床試験では,脊椎すべり症を伴わない脊柱管狭窄症に対する減圧術と非外科的治療とを比較した.試験は,2 つの無作為化群間でクロスオーバーの頻度が高かったことによる限界があり,確定的なものではなかったが,得られた所見は,この頻度の高い脊柱疾患に対して非外科的治療よりも外科的減圧術を支持するものであった.
BRIEF REPORT
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臓器移植のレシピエントにおける E 型肝炎ウイルスと慢性肝炎
Hepatitis E Virus and Chronic Hepatitis in Organ-Transplant RecipientsE 型肝炎ウイルス(HEV)は急性肝炎に関与するとみなされているが,慢性肝炎への進行を引き起こすとはこれまで考えられてこなかった.この論文の著者らは,急性 HEV 感染を発症した臓器移植のレシピエント 14 例を同定し,このうち 8 例では感染が慢性肝炎と確定した.慢性肝炎患者のリンパ球数および CD2,CD3,CD4 の各 T 細胞数は,感染が消散した患者よりも有意に少なかった.
CLINICAL PRACTICE
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腰部脊柱管狭窄症
Lumbar Spinal Stenosis高血圧のある 72 歳の女性が,両側の臀部と大腿部外側に広がる腰部不快感が 4 ヵ月続いたため受診した.それまで女性は 1 日に 2 マイル(3.2 km)歩いていたが,現在では 1 回に 2 ブロック歩くことも 15 分以上立っていることも困難である.身体的検査において特記すべき点は,わずかな前傾姿勢と,両側母趾の振動感覚の低下のみであった.この女性をどのように評価し,治療すべきであろうか?
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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腎不全と関節および皮膚のこわばりを呈する 46 歳の女性
A 46-Year-Old Woman with Renal Failure and Stiffness of the Joints and Skin46 歳の女性が,関節と皮膚のこわばりのためリウマチ専門医を受診した.女性は 7 年前に A 群連鎖球菌による肺炎に伴う敗血症性ショックを起こすまでは健康であったが,その後慢性腎疾患と疼痛を伴う末梢神経障害が残った.3 年後,疼痛と関節のこわばりを伴う,手足の皮膚のこわばりが徐々に進行した.腎不全が悪化し,呼吸困難とうっ血性心不全が発現した.診断手技が行われた.
HEALTH LAW, ETHICS, AND HUMAN RIGHTS
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後発蛋白質薬剤の科学面および法律面での存続可能性
Scientific and Legal Viability of Follow-on Protein Drugsエリスロポエチンのような組換え蛋白質薬剤の多くの特許が切れた現在,それらのジェネリック医薬品が入手可能となれば,医療費は削減されるであろう.しかし,ジェネリック医薬品の承認を簡略化し,迅速に進める米国連邦法は,ほかの薬剤には適用されるが,組換え蛋白質薬剤には適用されない.米国連邦議会は,後発蛋白質薬剤の承認を促進するための法律を作成中である.