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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 14, 2008
Vol. 359 No. 7

ORIGINAL ARTICLE

  • 安定冠動脈疾患患者の QOL に対する PCI の効果
    Effect of PCI on Quality of Life in Patients with Stable Coronary Disease

    COURAGE 試験では,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を至適薬物療法に追加しても,慢性冠動脈疾患患者のその後の死亡率と心筋梗塞の発生率は低下しなかった.QOL 解析では,どちらの治療戦略でも健康状態の評価項目は有意に改善したが,初期の改善は PCI 群のほうが大きいことが示された.

  • PCI 施行時におけるビバリルジンと未分画ヘパリンの比較
    Bivalirudin vs. Unfractionated Heparin during PCI

    ビバリルジンは,新規の直接トロンビン阻害薬である.安定冠動脈疾患に対して PCI を受ける患者において,ビバリルジン投与と未分画ヘパリン投与を比較したところ全体の転帰は同等であったが,ビバリルジンでは重大な出血の発生がより少なかった.

  • 高齢の閉経後女性におけるチボロンの効果
    Effects of Tibolone in Older Postmenopausal Women

    この研究では,60~85 歳で骨粗鬆症または脊椎骨折を有する女性を対象に,エストロゲン,プロゲストーゲン,アンドロゲン様の作用を有するチボロンとプラセボを比較した.チボロンは,骨折,乳癌,そしておそらくは結腸癌のリスク減少に関連していた.しかし,この薬剤は脳卒中のリスク増加と関連しており,高齢女性と脳卒中の危険因子を有する女性に対しては,通常は使用を避けるべきである.

BRIEF REPORT

  • 心臓循環器系による死亡判定後の小児心臓移植
    Pediatric Heart Transplantation after Declaration of Cardiocirculatory Death

    この報告は,心臓循環器系の原因により死亡した乳児のドナー 3 例(提供時の平均生後日数 3.7 日)からの心臓移植について述べている.レシピエント(平均生後 2.2 ヵ月)全例が 6 ヵ月生存し,左室機能は良好であった.この移植方法には議論の余地があるが,ドナープール拡大の可能性を示すものである.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • アルコール依存症の管理におけるナルトレキソン
    Naltrexone for the Management of Alcohol Dependence

    44 歳の会社員がアルコール依存症の症状を呈して来院し,過度の飲酒を認めている.ナルトレキソンの使用が推奨されている.ナルトレキソンは,脳の報酬シグナリングを阻害し,飲酒欲求を軽減するオピオイド拮抗薬である.ナルトレキソンには肝毒性が報告されている.アヘン製剤への身体依存性のある患者にはこの薬剤を使用すべきでない.

MOLECULAR ORIGINS OF CANCER

  • 癌における染色体異常
    Chromosomal Abnormalities in Cancer

    この総説では,癌細胞における染色体異常について説明している.こうした染色体異常は一般的に血液の癌と関連することが示されているが,最近の研究では,前立腺癌や非小細胞肺癌などの固形腫瘍においても染色体のさまざまな変化が認められている.著者らは,染色体異常のなかには,癌治療の標的を明らかにしているものもあり,特定の腫瘍の診断や予後予測に実用化されるものもあると指摘している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 疲労および下垂体と小脳の病変を有する男性
    A Man with Fatigue and Lesions in the Pituitary and Cerebellum

    43 歳の男性が,疲労および下垂体と小脳の病変のためリウマチ専門クリニックを受診した.9 年前から尿崩症,性腺機能低下症,甲状腺機能低下症が発現し,下垂体柄領域と小脳に病変が検出された.男性は神経サルコイドーシスの疑いでグルココルチコイドによる治療を受けたが,疲労,運動失調,神経症状が悪化した.胸部と腹部の CT 検査により,大動脈,腎動脈,腎を取り囲む異常な軟部組織の存在が明らかとなった.診断手技が行われた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 消化管を保護する細菌の力を利用する
    Harnessing the Power of Bacteria to Protect the Gut

    組換え型の細菌由来蛋白であるフラジェリンは,放射線照射による影響からマウスの消化管と骨髄を保護する.