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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 20, 2010
Vol. 362 No. 20

ORIGINAL ARTICLE

  • 腹部大動脈瘤に対する血管内治療と開腹手術の比較
    Endovascular versus Open Repair of Abdominal Aortic Aneurysm

    大きな腹部大動脈瘤を有する患者を,血管内治療群と開腹手術群に割り付けた.手術死亡率は血管内治療群のほうが低かったが,中央値 6 年の時点で全死亡率,動脈瘤関連死亡率に 2 群間で有意差は認められなかった.血管内治療群ではグラフト関連合併症と再介入の頻度がより高かった.

  • 開腹手術が身体的に不適応な患者における大動脈瘤の血管内治療
    Endovascular Repair of Aortic Aneurysm in Patients Physically Ineligible for Open Repair

    大きな腹部大動脈瘤を有し,開腹手術が身体的に不適応である患者を,血管内治療を行う群と,介入を行わない群に割り付けた.中央値 3 年の時点で,動脈瘤関連死亡率は血管内治療群で有意に低下したが,全死亡率に差は認められなかった.

  • 腹部大動脈瘤修復術の長期転帰
    Long-Term Outcome of Repair of Abdominal Aortic Aneurysm

    大きな腹部大動脈瘤を有する患者を開腹手術群と血管内治療群に割り付けた.6 年の時点で累積生存率に両群間で有意差は認められなかった.再介入率は血管内治療群のほうが有意に高かった.

  • 心臓移植後の遺伝子発現プロファイリング
    Gene-Expression Profiling after Cardiac Transplantation

    心臓移植後の拒絶反応をモニタリングするため,標準的な手法である心内膜心筋生検を行う群と,遺伝子発現プロファイリングを行う群に患者を割り付けた.19 ヵ月後,血行動態の悪化を伴う拒絶反応,移植心の機能不全,死亡,再移植の発生率は 2 群間で同程度であったが,今回の試験の検出力には限界があった.

BRIEF REPORT

  • L-ヒスチジンデカルボキシラーゼとトゥレット症候群
    L-Histidine Decarboxylase and Tourette's Syndrome

    トゥレット症候群への感受性には遺伝が関連していることが知られている.父親と 8 人の子どもがトゥレット症候群に罹患した非近親婚家族に関するこの研究は,L-ヒスチジンデカルボキシラーゼ活性の欠損がトゥレット症候群の原因の一つである可能性を示唆している.

MECHANISMS OF DISEASE

  • ファンコニ貧血の感受性経路と乳癌
    Susceptibility Pathways in Fanconi's Anemia and Breast Cancer

    ファンコニ貧血は,損傷を受けた DNA の不完全な修復から生じるまれな疾患である.ファンコニ貧血に関与する 13 遺伝子のうち,3 つは乳癌感受性遺伝子であり,その 1 つは BRCA2 と同一である.ファンコニ貧血の D1 サブタイプの患者とその家族の細胞には BRCA2 の両アレル変異がみられ,D1 サブタイプのヘテロ接合体の血縁者は乳癌と卵巣癌のリスクが高い.このように,まれな疾患の研究から一般的な疾患の手がかりを得ることができる.

VIDEOS IN CLINICAL MEDICINE

  • 中耳炎の診断 ― 耳鏡検査と耳垢除去
    Diagnosing Otitis Media ― Otoscopy and Cerumen Removal

    中耳の炎症は,臨床的に急性中耳炎か滲出性中耳炎に分類される.中耳炎を正確に診断・分類するためには耳鏡検査に習熟する必要がある.このビデオでは,耳鏡検査と外耳道からの耳垢除去を実演している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • マンモグラフィーで早期乳癌が発見された高齢女性
    An Elderly Woman with Mammographically Detected Early Breast Cancer

    85 歳の女性に低分化型浸潤性乳管癌(エストロゲン受容体,プロゲステロン受容体,HER2 がすべて陽性)が発見された.リンパ節転移や遠隔転移の臨床的所見はみられない.女性には高コレステロール血症,高血圧,慢性閉塞性肺疾患,甲状腺機能低下症,関節炎があり,原因不明の胸水と心膜液貯留の既往があった.娘と同居し日常生活動作をすべて行っていた.管理の意思決定がなされた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 精子とプロトンチャネル
    Sperm and the Proton Channel

    精巣上体で静止状態にある精子が女性生殖器で受精能を獲得する変化は,細胞内のアルカリ化に依存している.最近の研究で,アルカリ化の過程における特定のプロトンチャネルの役割が強調されている.