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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 25, 2010
Vol. 362 No. 8

ORIGINAL ARTICLE

  • 吃音と遺伝の関連
    Genetic Associations with Stuttering

    この研究では,加水分解酵素群のリソソームへの輸送を間接的に誘導する蛋白の変異が,吃音と関連していることを示している.著者らは,先行研究で吃音との関連が指摘された領域の遺伝子群を解析し,GlcNAc-リン酸転移酵素のサブユニットに影響を与える変異と,同じ酵素複合体または経路のほかの蛋白をコードする遺伝子の変異を同定した.この予期せぬ結果から,代謝経路が吃音への感受性にかかわることが示唆される.

  • ラソフォキシフェンと骨粗鬆症
    Lasofoxifene and Osteoporosis

    59~80 歳で大腿骨頸部または脊椎の骨密度 T スコアが -2.5 以下の女性に対し,選択的エストロゲン受容体モジュレ-タ-であるラソフォキシフェン(0.25 mg もしくは 0.5 mg)またはプラセボを 5 年間投与した.ラソフォキシフェン 0.5 mg では,骨折,エストロゲン受容体陽性乳癌,冠動脈疾患,脳卒中のリスクが減少し,子宮体癌の増加は認められなかったが,静脈血栓塞栓イベントの増加が認められた.

  • 結核治療中の抗レトロウイルス療法の開始時期
    Timing of Initiation of Antiretroviral Drugs during Tuberculosis Therapy

    ヒト免疫不全ウイルス(HIV)と結核の重複感染患者における,抗レトロウイルス療法の至適開始時期は明らかにされていない.この非盲検試験では,HIV と結核の重複感染患者 642 例を対象に,結核の治療中または治療終了後に抗レトロウイルス療法を開始した.結核治療中に抗レトロウイルス療法を開始することで,死亡率に 56%の相対的減少がみられた.

  • HIV 感染者における結核のスクリーニングと診断のアルゴリズム
    An Algorithm for Tuberculosis Screening and Diagnosis in People with HIV

    資源の乏しい環境で,活動性結核の経済効率のよいスクリーニングを行うことは困難である.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)と重複感染している場合,抗レトロウイルス療法の開始時期と免疫再構築症候群のリスクの両方を考慮する必要が生じるため,スクリーニングはとくに重要である.カンボジア,タイ,ベトナムの HIV 感染患者 1,748 例を対象としたこの研究では,咳嗽,発熱,寝汗の症状のいずれかが過去 4 週間のうち 21 日以上みられたかどうかを評価したところ,活動性結核の検出感度は 93%,特異度は 36%であった.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 疥癬に対するペルメトリンとイベルメクチン
    Permethrin and Ivermectin for Scabies

    4 歳の男児が,四肢にびらんがみられたため医療施設に連れられてきた.男児とそのきょうだい数人は疥癬と診断されており,同居する高齢のおばは痂皮性疥癬と診断されている.家族はペルメトリンの外用剤で治療を受けているが,ペルメトリンは節足動物の電位依存性ナトリウムチャネルの機能を阻害する.おばは塩素イオンチャネルを遮断するイベルメクチンの経口投与を受けている.

MECHANISMS OF DISEASE

  • グレーブス眼症
    Graves' Ophthalmopathy

    この論文では,グレーブス眼症が発症にいたるメカニズムについて検討している.発症にみられる主な特徴は,自己免疫が眼窩内の T 細胞,B 細胞,マクロファージのみならず,線維芽細胞や脂肪組織にも影響を及ぼすことである.眼窩内のサイトカイン媒介性炎症も重要な役割を果たしている.これらの最近の知見から,この消耗性疾患の新たな治療法が提案されている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 舌に病変を有する男性
    A Man with a Lesion on the Tongue

    37 歳の男性が,疼痛を伴う舌の病変ができたため口腔顎顔面外科クリニックを受診した.診察で,舌の左腹側表面に圧痛を伴う不規則な浅い潰瘍と,左前頸部リンパ節鎖に可動性の平坦な圧痛を伴うリンパ節が認められた.下肢には紅斑と水疱が散在していた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • BRCA1 との取組み
    Wrestling with BRCA1

    BRCA1 蛋白を DNA の修復部位に輸送する細胞機構は,DNA の完全性の維持にきわめて重要である.最近の 2 件の研究で,この機構の重要な要素が同定された.