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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 10, 2020
Vol. 383 No. 24

This Week in the JOURNAL

ORIGINAL ARTICLES

  • リポ蛋白リパーゼの活性化を介した脂質低下
    Lipid Lowering through Activation of Lipoprotein Lipase

    アンジオポエチン様蛋白 3(ANGPTL3)はリポ蛋白リパーゼの阻害物質の 1 つである.エビナクマブは,ANGPTL3 を阻害するモノクローナル抗体であり,リポ蛋白リパーゼを活性化する.スタチンや PCSK9 阻害薬に反応しない高コレステロール血症患者において,エビナクマブの使用により,最大用量では血漿脂質値が 50%以上低下した.

  • SARS-CoV-2 の遺伝子組換えナノ粒子ワクチン
    SARS-CoV-2 Recombinant Nanoparticle Vaccine

    遺伝子組換え SARS-CoV-2 スパイク蛋白ナノ粒子ワクチンを 0 日目と 21 日目に三角筋に投与したところ,5 μg と 25 μg の両用量で免疫原性が認められた.サポニンをベースとしたアジュバントとともに投与した場合,いずれの用量でも免疫原性は同等であり,副反応はほとんどあるいはまったくなく,誘導された中和抗体価は回復期血清中の中和抗体価よりも高かった.

  • Covid-19 に対するトシリズマブ
    Tocilizumab in Covid-19

    発熱,肺浸潤,酸素投与の必要性のうち,2 つ以上を有する Covid-19 患者を対象とした無作為化比較試験で,トシリズマブの有効性が検証された.トシリズマブの投与は,疾患進行,酸素投与の中止,死亡のいずれにも有意な効果はなかった.

  • 前立腺癌に対するオラパリブによる生存期間
    Survival with Olaparib in Prostate Cancer

    PROfound 試験では以前に,腫瘍の相同組換え修復遺伝子 BRCA1BRCA2ATM のいずれかに異常を認める患者において,オラパリブは画像に基づく無増悪生存期間を延長させることが示された.より長期の追跡が行われた結果,オラパリブがこれらの患者の全生存期間を延長させたことが示されている.毒性は貧血,悪心,無力症などであった.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 癌と急性低酸素血症を呈する男性
    A Man with Cancer and Acute Hypoxemia

    背部痛を有する 52 歳の男性が,椎体腫瘤,多発性骨融解病変,重度の高カルシウム血症で入院した.MRI で T1 椎体に増強効果を示す骨髄置換腫瘤が認められた.入院 5 日目に酸素飽和度が急激に低下した.診断が下された.

POINTS OF VIEW

  • Daniel Prude の死
    The Death of Daniel Prude

    メンタルヘルスの疾患はどこにでも存在し,それについて支援を求めることは非常に重要である.しかし黒人にとっては,支援には相当なリスクが伴う.このリスクが 1 つ現れたことで Daniel Prude の命が奪われたが,これで彼の物語が終わったわけではない.

Videos, Images, and Multimedia

IMAGES IN CLINICAL MEDICINE

  • 虹彩毛様体悪性黒色腫
    Iridociliary Melanoma

    57 歳の男性が,右眼の痛みが徐々に悪化し,視力が低下して受診した.診察にて虹彩に色素性結節が認められ,虹彩毛様体悪性黒色腫の診断が下された.

VIDEOS IN CLINICAL MEDICINE

  • 頸静脈の診察
    Examination of the Neck Veins

    頸静脈の診察は,呼吸困難,浮腫,血液量減少を認める患者で右房圧を評価し,血管内水分量を推定するためにルーチンで行われる.この動画では,頸静脈の診察方法と,ベッドサイドでの腹部頸静脈逆流法を実演する.

REVIEW ARTICLE

  • 特発性冠動脈解離
    Spontaneous Coronary-Artery Dissection

    冠動脈解離は,急性心筋梗塞に占める割合が 1%未満であり,発症は女性,とくに 47~53 歳に多い.線維筋性異形成や,その他非冠動脈疾患などの基礎疾患に関連している可能性があり,通常は内科的に治療される.

NEJM QUICK TAKE

  • 高コレステロール血症のリスクを低減させる
    Reducing Risk in Hypercholesterolemia

    米国の成人の約 7%が重症高コレステロール血症(LDL コレステロール値 190 mg/dL 以上)と診断されており,ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症を有する患者は,有しない患者と比較して冠動脈疾患のリスクが 6 倍である可能性がデータから示されている.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.

PERSPECTIVE AUDIO INTERVIEW

  • C 型肝炎とノーベル賞
    Hepatitis C and the Nobel Prize

    Jay Hoofnagle が,C 型肝炎の発見と,慢性肝炎の予防と治療における進歩について論じている.