April 25, 2002 Vol. 346 No. 17
天然痘ワクチンの原液と希釈液に対する臨床反応
Clinical Responses to Undiluted and Diluted Smallpox Vaccine
S.E. FREY AND OTHERS
天然痘ワクチン(種痘ウイルス)の供給をふやす可能性を評価するため,われわれは,1 mL 当り 108.1,107.2,107.0 プラーク形成単位(pfu)の種痘ウイルスを含むワクチンの接種に対する反応を比較した.
この無作為単一盲検前向き試験では,ワクチン接種歴のない 680 人の成人を対象に,種痘ウイルスのワクチン原液(平均力価,108.1 pfu/mL),1:5 希釈液,1:10 希釈液のいずれかを二叉針で皮内接種し,接種部位を半透性包帯でおおった.小疱形成(ワクチン接種成功の指標)と有害事象の有無を調べるため,被験者をワクチン接種後 56 日間観察した.
成功率は群間で有意差がなく,初回接種後は 97.1~99.1%であった.ワクチン原液およびワクチン希釈液は共に,反応はよかった.一般的な有害事象は,膿疱形成に加えて,急性ウイルス性疾患の発現と一致する付随病変の形成,限局性リンパ節腫大,発熱,頭痛,悪心,筋肉痛,疲労,および悪寒などであった.また,多形性紅斑の 2 例を含め,全身性および局所性の発疹も認められた.
二叉針を用いて接種する場合,種痘ウイルスワクチンは 107.0 pfu/mL の低力価(1 用量当り約 10,000 pfu)まで希釈でき,97%を超える人々に局所的なウイルス複製と小疱形成を誘発する.