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February 21, 2002 Vol. 346 No. 8

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院外で心停止した昏睡状態の生存者の低体温導入による治療
Treatment of Comatose Survivors of Out-of-Hospital Cardiac Arrest with Induced Hypothermia

S.A. BERNARD AND OTHERS

背景

院外での心停止はめずらしいことではなく,予後は不良である.実験動物での研究は,自発循環の回復後すぐに導入された低体温により神経学的転帰が改善される可能性を示唆しているが,ヒトにおける決定的な研究はまだない.無作為比較試験において,われわれは,院外での心停止から蘇生後も意識消失したままの患者について,中等度の低体温と正常体温の効果を比較した.

方 法

研究対象患者は 77 例で,それぞれ無作為に低体温療法(自発循環回復後 2 時間以内に深部体温を 33℃に低下させ,この温度で 12 時間維持)あるいは正常体温療法に割付けた.主要転帰基準は,自宅あるいはリハビリテーション施設へ退院できるほどに十分な神経学的機能状態で生存し退院することであった.

結 果

患者の人口統計学的特性は低体温群,正常体温群両群でほぼ同じであった.低体温療法群は 43 例中 21 例(49%)が生還し,良好な転帰 ― すなわちこれらの患者は自宅あるいはリハビリテーション施設へ退院 ― であった.これに対し正常体温療法群では 34 例中 9 例(26%)であった(p=0.046).年齢および虚脱から自発循環に回復するまでの時間という背景の違いで補正したあと,低体温群の良好転帰に関するオッズ比は正常体温群と比較すると 5.25 であった(95%信頼区間,1.47~18.76;p=0.011).低体温は,より低い心係数,より高い体血管抵抗,ならびに高血糖と関連していた.有害事象の頻度に差はなかった.

結 論

われわれの予備的観察は,中等度の低体温療法が院外心停止から蘇生したあとの昏睡状態の患者の転帰を改善する可能性を示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 557 - 63. )