低カルシウム食は，特発性高カルシウム尿症患者における結石再発を予防するために推奨されているが，低カルシウム食の有効性に関する長期データは少ない．近年，低カルシウム食の有効性に疑問が投げかけられ，動物性蛋白や食塩摂取を減らすことにより重点が置かれているが，これについても長期にわたるデータは得られていない．

シュウ酸カルシウム結石と高カルシウム尿症が再発した男性患者 120 例を対象として，2 種類の食事療法の効果を比較する 5 年間の無作為試験を実施した．60 例には，通常量のカルシウム（30 mmol / 日）を含むが動物性蛋白（52 g / 日）や食塩（NaCl 50 mmol / 日）含量の少ない食事を割付け，残り 60 例には，カルシウム 10 mmol / 日を含む従来の低カルシウム食を割付けた．

5 年後，通常量カルシウム食群の 60 例中 12 例と，低カルシウム食群の 60 例中 23 例で再発が認められた．低カルシウム食群と比較した通常量カルシウム食群における再発の補正なし相対危険度は 0.49 であった（95%信頼区間，0.24～0.98；p＝0.04）．追跡調査中，両群ともに尿中カルシウム値が，約 170 mg / 日（4.2 mmol /日）有意に低下した．しかし，尿中シュウ酸排泄量は，低カルシウム食群で増加したが（平均 5.4 mg /日［ 60 μ mol / 日］），通常量カルシウム食群では減少した（平均 7.2 mg / 日［ 80 μ mol / 日］）．

シュウ酸カルシウム結石と高カルシウム尿症が再発した男性では，通常量のカルシウムを摂取するとともに動物性蛋白と食塩の摂取を制限することにより，従来の低カルシウム食より大きな保護効果が得られる．