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March 21, 2002 Vol. 346 No. 12

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肺動脈性肺高血圧症に対するボセンタン療法
Bosentan Therapy for Pulmonary Arterial Hypertension

L.J. RUBIN AND OTHERS

背景

エンドセリン-1 は,強力な血管収縮因子であり平滑筋分裂促進因子である.予備試験において,経口投与された二重エンドセリン受容体拮抗薬ボセンタンは,肺動脈性肺高血圧症患者における運動能力と心肺血行動態を改善した.この試験では,より多数の患者において運動能力に及ぼすボセンタンの効果を検討し,また 2 用量を比較した.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,肺動脈性肺高血圧症(原発性または結合組織病に伴う)患者 213 例を,プラセボを投与する群,または,1 日 2 回 62.5 mg のボセンタンを 4 週間投与し,その後最低 12 週間ボセンタンを 2 用量のいずれか(1 日 2 回 125 mg または 250 mg)で投与する群に無作為に割付けた.主要エンドポイントは,運動能力の変化の程度とした.副次的エンドポイントには,Borg 呼吸困難指数の変化,世界保健機構(WHO)機能分類の変化,臨床的悪化までの時間などとした.

結 果

16 週後,ボセンタン投与患者では 6 分間歩行距離が改善し,プラセボ群とボセンタン統合群との差の平均は 44 m であった(95%信頼区間,21~67;p<0.001).ボセンタン群では,Borg 呼吸困難指数と WHO 機能分類も改善し,臨床的悪化までの時間が延長した.

結 論

エンドセリン受容体拮抗薬ボセンタンは,肺動脈性肺高血圧症患者に有益であり,1 日 2 回 125 mg の用量で忍容性が高い.経口ボセンタンによるエンドセリン受容体拮抗作用は,肺動脈性肺高血圧症の治療に対する効果的なアプローチである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 896 - 903. )