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March 28, 2002 Vol. 346 No. 13

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急性心筋梗塞におけるアブシキシマブ併用または非併用下での血管形成術とステント留置との比較
Comparison of Angioplasty with Stenting, with or without Abciximab, in Acute Myocardial Infarction

G.W. STONE AND OTHERS

背景

血栓溶解療法に比べ,急性心筋梗塞において最初に経皮的冠動脈形成術(PTCA)を行うことは,死亡率,再梗塞率および脳卒中率を低下させるが,虚血の再発,再狭窄,および梗塞に関連した動脈の再閉塞が問題として残っている.PTCA と併用した場合,冠動脈ステント留置および血小板糖蛋白 IIb/IIIa 阻害薬は予後をさらに改善する可能性がある.

方 法

2×2 の要因デザインを用いて,急性心筋梗塞患者 2,082 例を,PTCA のみ(518 例),PTCA とアブシキシマブ(abciximab)の併用療法(528 例),MultiLink ステントを用いたステント留置のみ(512 例),ステント留置とアブシキシマブの併用療法(524 例)に無作為に割り付けた.

結 果

患者の 94.5~96.9%で標的血管の血流は正常に復し,再灌流法による違いはなかった.6 ヵ月の時点で,主要エンドポイント,すなわち死亡,再梗塞,障害をもたらす脳卒中,標的血管の虚血による血行再建の複合は,PTCA では 20.0%,PTCA とアブシキシマブ併用では 16.5%,ステント留置では 11.5%,ステント留置とアブシキシマブ併用では 10.2%に発生した(P<0.001).死亡,脳卒中,再梗塞の発生率に群間で有意差は認められず,主要エンドポイントの発生率の差は,主に標的血管の血行再建率の差によるものであった(範囲は PTCA の 15.7%から,ステント留置とアブシキシマブ併用の 5.2%まで,P<0.001).血管造影で確認された再狭窄の発生頻度は,PTCA で 40.8%,ステント留置で 22.2%(P<0.001),梗塞に関連した動脈の再閉塞率は,それぞれ 11.3%と 5.7%であり(P=0.01),ともにアブシキシマブ使用とは無関係であった.

結 論

経験を積んだ医療機関では,ステント植込み(アブシキシマブ療法の併用・非併用にかかわらず)を日常的な再灌流法とみなすべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 957 - 66. )