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October 10, 2002 Vol. 347 No. 15

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パキスタンにおける遺伝性ヘモグロビン異常症に関する拡大家族のスクリーニング
Screening Extended Families for Genetic Hemoglobin Disorders in Pakistan

S. AHMED, M. SALEEM, B. MODELL, AND M. PETROU

背景

われわれは,近親婚がよくみられる発展途上国において,劣性遺伝性疾患のキャリアを同定し,カウンセリングするための戦略を検討してきた.そのような地域社会においては,遺伝子変異体が拡大家族内に取り込まれているので,患児は遺伝的ハイリスク群のマーカーとなる.

方 法

パキスタンの 15 の大家族(ヘモグロビン異常症の家族歴をもつ 10 家族とそのような家族歴をもたない 5 家族[対照群])について,β サラセミアおよび異常ヘモグロビンのスクリーニングを行った.キャリア全例と,キャリア 2 名から成る夫婦にカウンセリングを行い,8 家族を 2 年間追跡調査した.

結 果

対照家族では,検査した 397 名においてキャリアは発見されなかった.発端症例をもつ 10 家族においては,検査した 591 名中 183 名(31%)がキャリアであった;キャリアは,患児を産むリスクのある結婚をするリスクが 25%あり,214 組の夫婦の 17 組(8%)は 2 名ともキャリアであった.無作為に選択した 350 名の妊娠女性およびその夫については,リスクのある組は同定されなかった.キャリア全例が検査やカウンセリングの過程で提供された情報を利用していると報告した:キャリアと結婚し 2 名以上の健康な児をもつキャリアはそれ以上の妊娠を控え,また,1 名の健康な児をもつか,健康な児をもたない夫婦のほとんどが出生前診断を利用している.新婚あるいは婚約した 8 組のうち 7 組は,リスクのないことが判明している.

結 論

拡大家族を検査することは,近親婚がよくみられる地域社会において,DNA に基づいた遺伝学的スクリーニングを実施するための実現可能な方法である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 1162 - 8. )