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October 17, 2002 Vol. 347 No. 16

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浸潤性乳癌治療としての乳房全摘,乳腺腫瘤摘出,および放射線照射を併用した乳腺腫瘤摘出を比較する無作為試験の 20 年追跡調査
Twenty-Year Follow-up of a Randomized Trial Comparing Total Mastectomy, Lumpectomy, and Lumpectomy plus Irradiation for the Treatment of Invasive Breast Cancer

B. FISHER AND OTHERS

背景

1976 年に,われわれは,放射線照射療法を併用するあるいは併用しない乳腺腫瘤摘出術が,浸潤性乳癌治療として乳房全摘と同程度に有効であるかどうかを決定するための無作為試験を開始した.

方 法

追跡調査のデータが利用可能でリンパ節転移の状態がわかっている女性計 1,851 例を,乳房全摘,乳腺腫瘤摘出のみ,または乳腺腫瘤摘出および乳房放射線照射から成る治療に無作為に割付けた.転帰について Kaplan-Meier 分析および累積発生率の推定値を得た.

結 果

同側乳房における再発性腫瘍の累積発生率は,乳房放射線照射を併用する乳腺腫瘤摘出術を受けた女性では 14.3%であり,それに対して放射線照射を併用しない乳腺腫瘤摘出術を受けた女性では 39.2%であった(P<0.001).無病生存率,無遠隔病変生存率,全生存率に関して,女性 3 群間には有意差は認められなかった.乳房全摘術を受けた女性と比較して,乳腺腫瘤摘出術のみを受けた女性における死亡のハザード比は 1.05 であった(95%信頼区間 0.90~1.23;P=0.51).乳房全摘術を受けた女性と比較して,乳腺腫瘤摘出後に乳房放射線照射を受けた女性における死亡のハザード比は 0.97 であった(95%信頼区間 0.83~1.14;P=0.74).乳腺腫瘤摘出治療を受け,切除標本の断端に腫瘍がなかった女性においては,術後乳房放射線照射を受けなかった女性と比較して,術後乳房放射線照射を受けた女性における死亡のハザード比は 0.91 であった(95%信頼区間 0.77~1.06;P=0.23).放射線照射療法は,乳癌による死亡のかろうじて有意な減少と関連していた.この減少は,他の原因による死亡の増加によって一部相殺された.

結 論

切除標本の断端に腫瘍がなく,美容上満足できる結果が得られる場合には,乳腺腫瘤摘出後に乳房放射線照射を行う治療法は,引き続き乳癌女性に対する適切な治療である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 1233 - 41. )