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November 14, 2002 Vol. 347 No. 20

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死亡率の格差に対する主要疾患の寄与
Contribution of Major Diseases to Disparities in Mortality

M.D. WONG, M.F. SHAPIRO, W.J. BOSCARDIN, AND S.L. ETTNER

背景

全死因死亡率は,教育年数の短い人および黒人でより高いが,どの疾患がこれらの格差のもっとも大きな原因となっているかは明らかにされていない.

方 法

1986~94 年に実施された全国健康問診調査(National Health Interview Survey)およびこれに連結させた人口動態統計のデータから,死因別の死亡リスクを評価した.これらのリスク推定値を用いて,特定の死因と関連した,余命の短縮年数および平均余命の延長年数を,教育レベルと人種に基づき層別化して算出した.

結 果

高校を卒業した人では 1 人当り余命が 3.6 年短縮されたのに対し,高校教育を受けていない人では,集団の 1 人当り 12.8 年短縮された(比 3.5;P<0.001).虚血性心疾患が,余命短縮における教育による格差のもっとも大きな原因となっていた(11.7%;すべての心血管疾患は原因の 35.3%).すべての癌は原因の 26.5%であり,うち 7.7%は肺癌であった;他の肺疾患と肺炎は全原因の 10.1%であり,一方,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)疾患は,教育による差を説明しなかった.収入レベルに基づく格差のパターンは,教育レベルに基づく格差パターンとほぼ同じであった.黒人と白人では,全死因死亡により,それぞれ 1 人当り 7.0 年および 5.2 年余命が短縮された(比 1.35;P<0.001).心血管疾患がこの格差の 1/3 を説明しており,大部分は高血圧によるものであった(15.0%);HIV 疾患(11.2%)は,虚血性心疾患(5.5%)と脳卒中(2.8%)と癌(3.4%)を合せたものとほぼ同程度であった;外傷と糖尿病は,それぞれ 10.7%,8.5%であった.

結 論

多数の条件が,予想寿命の短縮における社会経済的および人種的格差の原因となっているが,これらの格差の大部分を説明する条件は少数である.すなわち,教育年数が短い人での死亡の場合は喫煙関連の疾患であり,黒人の死亡の場合は高血圧,HIV 疾患,糖尿病,外傷である.これらの知見は,死亡率に関する現在の格差を減少させるための努力目標設定において,重要な意味をもつ.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 1585 - 92. )