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November 21, 2002 Vol. 347 No. 21

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ヒトパピローマウイルス 16 型ワクチンの比較対照試験
A Controlled Trial of a Human Papillomavirus Type 16 Vaccine

L.A. KOUTSKY AND OTHERS

背景

成人のおよそ 20%がヒトパピローマウイルス 16 型(HPV-16)に感染する.ほとんどの感染は良性であるが,一部は肛門および生殖器の癌に進行する.HPV-16 の感染率を低下させるワクチンは,公衆衛生面で重要な恩恵を与える可能性がある.

方 法

この二重盲検試験では,2,392 人の若年女性(16~23 歳の女性と定義)を,プラセボあるいは HPV-16 ウイルス様粒子ワクチン(単回量 40 μg)を試験開始時,2 ヵ月後,6 ヵ月後の 3 回投与する群に無作為に割付けた.HPV-16 DNA の有無を検査するための生殖器からの標本は,組入れ時,3 回目のワクチン投与の 1 ヵ月後,そしてその後 6 ヵ月ごとに採取した.女性は,プロトコルに従って,膣鏡検査を行った.生検組織については,子宮頸部上皮内腫瘍の有無を評価し,ポリメラーゼ連鎖反応法を用いて HPV-16 DNA を分析した.主要エンドポイントは HPV-16 の持続感染で,これは受診時に採取する標本内に 2 回以上 HPV-16 DNA を検出することと定義した.主要解析は,組み入れ時に HPV-16 DNA および HPV-16 抗体が陰性で,7 ヵ月後に HPV-16 DNA が陰性である女性に限定した.

結 果

追跡調査は,ワクチン投与レジメンの完了後,中央値 17.4 ヵ月間行った.HPV-16 持続感染の発生率は,プラセボ群では感染リスクがある女性 100 人-年当り 3.8 人であり,ワクチン群では感染リスクがある女性 100 人-年当り 0 人であった(100%の有効性;95%信頼区間 90~100;P<0.001).HPV-16 に関連した子宮頸部上皮内腫瘍の 9 症例はすべてプラセボ投与群に生じた.

結 論

この HPV-16 ワクチンの投与は,HPV-16 感染と HPV-16 に関連した子宮頸部上皮内腫瘍の発生率を共に低下させた.HPV-16 陰性の女性に免疫を与えることで,最終的には子宮頸癌の発生率が低下する可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 1645 - 51. )