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November 21, 2002 Vol. 347 No. 21

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食道腺癌に対する拡大経胸的切除術と限定経裂孔的切除術の比較
Extended Transthoracic Resection Compared with Limited Transhiatal Resection for Adenocarcinoma of the Esophagus

J.B.F. HULSCHER AND OTHERS

背景

食道癌に対する最良の外科的治療についての論争が存在している.

方 法

食道中下部の腺癌,または食道下部に浸潤した胃噴門部腺癌を有する患者 220 例を,経裂孔的食道切除術,または拡大リンパ節切除術と併用した経胸的食道切除術のいずれかに無作為に割付けた.主要エンドポイントは,全生存率と無病生存率であった.早期の合併症と死亡率,QOLで補正した余命の延長年数および費用効果も算定した.

結 果

計 106 例の患者が経裂孔的食道切除術に割付けられ,114 例が経胸的食道切除術に割付けられた.人口統計学的特性と腫瘍の特性は,両群で同様であった.周術期の合併症の発生率は,経胸的食道切除術後のほうが高かったが,院内死亡率は両群に有意差はなかった(P=0.45).中央値 4.7 年の追跡期間後,患者 142 例が死亡した ―― 経裂孔的切除術後の 74 例(70%),経胸的切除術後の 68 例(60%)であった(P=0.12).生存率の差は統計学的には有意ではなかったが,拡大法において,5 年の時点における生存を延長する効果を示す傾向があった.すなわち,無病生存率は,経裂孔的食道切除術群では 27%であったのに対し,経胸的食道切除術群では 39%であった(差に対する 95%信頼区間 -1~24%[マイナス値は,経裂孔的切除術の方が生存率が高いことを示す]).一方,全生存率は,経裂孔的食道切除術群では 29%であったのに対し,経胸的食道切除術群は 39%であった(差に対する 95%信頼区間 -3~23%).

結 論

経裂孔的食道切除術では,拡大リンパ節切除術と併用した経胸的食道切除術に比べ,合併症の発生率が低かった.全生存率,無病生存率,および QOLで補正した生存期間の中央値については,両群間に統計学的有意差はなかったが,拡大経胸的方法では,5 年での長期生存率に改善の傾向があった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 1662 - 9. )