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December 26, 2002 Vol. 347 No. 26

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軽度のフェニルケトン尿症に対する代替療法としてのテトラヒドロビオプテリン
Tetrahydrobiopterin as an Alternative Treatment for Mild Phenylketonuria

A.C. MUNTAU AND OTHERS

背景

高フェニルアラニン血症は,頻度の高い遺伝性代謝疾患であり,フェニルアラニン水酸化酵素の欠損が原因である.罹患患者の少なくとも半数は,軽度の臨床的表現型を示す.低フェニルアラニン食による治療にはかなりの心理社会的負担があるが,代替療法はこれまで有効ではなかった.

方 法

テトラヒドロビオプテリンによる治療の有効性を検討するため,フェニルアラニン水酸化酵素欠損症の小児 38 例(年齢 1 日~17 歳)を対象として,フェニルアラニン-テトラヒドロビオプテリン併用負荷試験を実施し,in vivo の[13C]フェニルアラニン酸化率を解析した.テトラヒドロビオプテリンに対する反応性が,特定の遺伝子型と関連しているかどうかを検討し,フェニルアラニン水酸化酵素単量体の構造モデルを用いて,変異部位をマッピングした.

結 果

軽度の高フェニルアラニン血症(10 例)または軽度のフェニルケトン尿症(21 例)の患者 31 例中 27 例(87%)では,テトラヒドロビオプテリンにより,血中フェニルアラニン濃度が有意に減少した.これらの 31 例のうち 23 例(74%)では,フェニルアラニンの酸化が有意に促進された.反対に,古典的フェニルケトン尿症の患者 7 例はいずれも,この試験で定義したテトラヒドロビオプテリンに対する反応を示さなかった.小児 5 例におけるテトラヒドロビオプテリンの長期投与では,日常のフェニルアラニン耐性が高まり,これらの小児は制限食を中止することができた.7 種類の突然変異(P314S,Y417H,V177M,V245A,A300S,E390G,IVS4-5C→G)が,テトラヒドロビオプテリンに対する反応とおそらく関連があり,6 種類の突然変異(A403V,F39L,D415N,S310Y,R158Q,I65T)は関連する可能性があるとして分類された.4 種類の突然変異(Y414C,L48S,R261Q,I65V)は,表現型との関連性が一貫していなかった.テトラヒドロビオプテリン反応性に関連する突然変異は,主に蛋白質の触媒ドメインにあり,補酵素の結合には直接関与していなかった.

結 論

テトラヒドロビオプテリン反応性は,軽度の高フェニルアラニン血症の表現型を示す患者によく認められた.とくに複合ヘテロ接合型では,遺伝子型に基づいて一貫して反応性を予測することはできない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 2122 - 32. )