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August 15, 2002 Vol. 347 No. 7

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バクテリアの新しい菌株と慢性閉塞性肺疾患の増悪
New Strains of Bacteria and Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease

S. SETHI, N. EVANS, B.J.B. GRANT, AND T.F. MURPHY

背景

慢性閉塞性肺疾患の急性増悪における病原微生物の役割には議論の余地がある.過去の研究では,痰からのバクテリア病原体の分離割合は,急性増悪中と疾患の安定期では同程度であった.しかし,これらの研究ではバクテリア種内の菌株の判別を行っておらず,そのため時間経過における菌株の変化を検出できなかった.われわれは,病原バクテリア種の新しい菌株の獲得が慢性閉塞性肺疾患の増悪と関連しているという仮説を立てた.

方 法

慢性閉塞性肺疾患の外来患者 81 例から臨床情報と培養のための痰サンプルを毎月および増悪中に収集する前向き研究を実施した.非被包性 Haemophilus influenzae(インフルエンザ菌),Moraxella catarrhalisStreptococcus pneumoniae(肺炎連鎖球菌),Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)について痰からの分離株の分子タイピングを行った.

結 果

56 ヵ月間で,患者 81 例が合計 1,975 回診療所に来院し,そのうちの 374 回は増悪中の来院であった(平均,年間患者 1 人当り 2.1 回).分子タイピングに基づいて増悪と診断されたのは,バクテリア病原体の新しい菌株が分離された来院の 33.0%であったのに対し,新しい菌株が分離されなかった来院では 15.4%であった(P<0.001;増悪の相対リスク 2.15;95%信頼区間 1.83~2.53).H. influenzaeM. catarrhalis,または S. pneumoniae の新しい菌株分離は,増悪リスクの有意な増加と関係していた.

結 論

増悪とバクテリア病原体の新しい菌株の分離との関連は,慢性閉塞性肺疾患の増悪におけるバクテリアの病因的役割を支持するものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 465 - 71. )