The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 22, 2002 Vol. 347 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

酪農場の訪問客における大腸菌 O157:H7 感染の集団発生
An Outbreak of Escherichia coli O157:H7 Infections among Visitors to a Dairy Farm

J.A. CRUMP AND OTHERS

背景

大腸菌(Escherichia coli)O157:H7 感染の集団発生には,動物およびその環境からヒトへの直接伝播が関与している.われわれは,一般の人が動物に接触できるペンシルバニア酪農ふれあい農場の訪問客における感染の集団発生を報告する.

方 法

感染の危険因子を同定するための農場の訪問客を対象とした症例対照研究と,これらの訪問客の下痢疾患発生率を決定するための家族調査を行った.農園における E. coli O157:H7 の感染源を同定するために,広範囲な環境調査を行った.

結 果

E. coli O157:H7 感染が確認された,または疑われた患者 51 例を症例対照研究の対象とした.患者の年齢の中央値は 4 歳であり,8 例に溶血性尿毒症症候群が発生した.子ウシとその環境への接触が感染リスクの上昇に関連しており,手を洗うことには予防効果があった.家族調査では,集団発生中の農場の訪問客において,下痢の発生率が期待値よりも高いことが明らかになった.環境調査では,農場のウシ 216 頭中 28 頭(13%)が,パルスフィールドゲル電気泳動で患者からの分離株で認められたものと同じ明確なパターンを示す E. coli O157:H7 を保菌していたことが示された.この菌は一般の人が接触できる表面からも採取された.

結 論

酪農場訪問客,主に小児における E. coli O157:H7 感染の集団発生では,子ウシと若いウシの E. coli O157:H7 の保菌率が高かったことが,動物の皮膚と環境両方の汚染という結果をもたらした可能性がもっとも高い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 555 - 60. )