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January 8, 2004 Vol. 350 No. 2

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神経管欠損症児を妊娠した女性における葉酸受容体に対する自己抗体
Autoantibodies against Folate Receptors in Women with a Pregnancy Complicated by a Neural-Tube Defect

S.P. Rothenberg and Others

背景

葉酸欠乏が臨床的に認められない場合でも,妊娠前後の葉酸補充により,女性が神経管欠損症児を出産するリスクが低下する.ラットでは,葉酸受容体に対する抗血清が胎仔の胎芽吸収と奇形を誘発することから,われわれは,女性における葉酸受容体に対する自己抗体が,神経管欠損症児の妊娠と関連する可能性があるという仮説を立てた.

方 法

神経管欠損症児を現在妊娠しているか,既往のある女性 12 例と,対照女性 24 例(20 例は現在あるいは以前に正常妊娠の経験がある女性で,4 例は妊娠の経験がない女性)から採取した血清を,[3H] 葉酸で放射標識したヒト胎盤葉酸受容体と共に培養し,自己抗体について解析した.血清および血清から分離した自己抗体を,葉酸受容体を発現する胎盤膜,ED27 細胞,KB 細胞と共に培養して,これらの自己抗体の特性を明らかにした.

結 果

現在あるいは過去に罹患児を妊娠した女性(指標被験者)12 例中 9 例および対照被験者 20 例中 2 例の血清に,葉酸受容体に対する自己抗体が含まれていた(P<0.001).自己抗体は,4℃で培養した場合,胎盤膜や ED27 細胞,KB 細胞上の葉酸受容体への [3H] 葉酸の結合を阻害し,37℃で培養した場合,KB 細胞による [3H] 葉酸の取り込みを阻害した.

結 論

神経管欠損症児を妊娠した女性の血清には,葉酸受容体に結合し,葉酸の細胞内への取り込みを阻害する可能性のある自己抗体が含まれている.葉酸受容体に対する母体の自己抗体と神経管欠損症とのあいだに観察された関連が,因果関係を反映するものかどうかを評価するためには,さらに研究を行う必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 134 - 42. )