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January 1, 2004 Vol. 350 No. 1

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オフポンプ多枝冠動脈バイパス術とオンポンプ多枝冠動脈バイパス術の無作為比較
A Randomized Comparison of Off-Pump and On-Pump Multivessel Coronary-Artery Bypass Surgery

N.E. Khan and Others

背景

心肺補助循環および心停止をしない(「オフポンプ」)冠動脈バイパス術が,グラフトの開存性に与える影響は依然として不明である.グラフト開存率および臨床転帰をオフポンプ術と従来の「オンポンプ」術で比較することを目的として,前向き無作為対照試験を行った.

方 法

患者 50 例をオンポンプ冠動脈バイパス術に,54 例をオフポンプ術に無作為に割付けた.手術手技,麻酔手技は両群で標準化した.臨床転帰とトロポニン T 値を測定した.3 ヵ月後,患者は定量的解析を含む冠動脈血管造影を受けた.

結 果

患者の平均年齢は 63 歳で,87%が男性であった.オンポンプ群では平均 3.4 のグラフトを,オフポンプ群では 3.1 のグラフトを受けた(P=0.41).死亡例はなかった.手術後の入院期間の中央値には,両群で有意差はみられなかった(各群で 7 日).トロポニン T 濃度曲線下面積は,最初の 72 時間のあいだオンポンプ群でオフポンプ群よりも高かった(30.96 時・μg/L 対 19.33 時・μg/L,P=0.02).3 ヵ月後,オンポンプ群で 130 のグラフトのうち 127 のグラフトが開存していたのに対し(98%),オフポンプ群では 130 のグラフトのうち 114 のグラフトが開存していた(88%,P=0.002).オンポンプ群の開存率は,いかなる部位のグラフトにおいてもオフポンプ群よりも高かった.

結 論

この無作為研究において,オフポンプ冠動脈術はオンポンプ術と同様に安全であり,心筋に与えた損傷も小さかった.しかし 3 ヵ月後のグラフト開存率は,オフポンプ群ではオンポンプ群よりも低く,この差は長期転帰に影響を与える.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 21 - 8. )