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February 5, 2004 Vol. 350 No. 6

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HLA 適合に関する優先順位の変更がマイノリティ・グループにおける腎移植の頻度と転帰に与える影響
Effect of Changing the Priority for HLA Matching on the Rates and Outcomes of Kidney Transplantation in Minority Groups

J.P. Roberts and Others

背景

米国では,死体腎を移植に割当てる基準として,主に HLA タイピングと,患者が移植待機リストに載ってから過ぎた時間が用いられている.HLA-A,B,DR にミスマッチのない移植候補者が最優先とされ,HLA-B,DR 遺伝子座でのミスマッチ数がもっとも少ない候補者がその次となる.この基準は,白人間における移植率が非白人間よりも高い一因となっている.われわれは,この割当て基準を変更することが,移植レシピエントにおける移植臓器の生着率と人種間のバランスに影響すると仮定した.

方 法

移植待機リストに載ってから移植までの時間に対し Cox モデルを用いて,現在の選択基準と HLA 抗原プロファイルの人種差に起因する,人種ごとの腎移植の相対頻度を推定した.同様に HLA-B,DR 抗原プロファイルで補正したもう 1 つのモデルで,これらの抗原プロファイルの分布が人種および民族間で等しいと仮定した場合の腎移植の相対頻度を推定した.最初の移植から移植腎廃絶までの時間に対し Cox モデルを用いて,HLA 適合が移植腎廃絶のリスクに与える影響についても調査した.2 つの分析の結果を用いて,優先順位割当ての方法から HLA-B 適合または HLA-B,DR 適合を除いた結果生じる,移植の人種間バランスや移植腎廃絶の発生率の変化を推定した.

結 果

優先事項として HLA-DR 適合を維持したまま HLA-B 適合を除外すると,白人間の移植数は 4.0%減少した(1 年間で 166 例減少).一方,非白人間での移植数は 6.3%増加し,移植腎喪失の発生率は 2.0%増加した.

結 論

死体腎の割当てに関する優先事項から HLA-B 適合を除くと,非白人間の移植数が増加して,現在みられる人種間不均衡を是正することができる.この場合,移植腎喪失の発生率はわずかしか増加しない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 545 - 51. )