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February 12, 2004 Vol. 350 No. 7

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インスリン抵抗性を示す 2 型糖尿病患者の子供におけるミトコンドリア活性の低下
Impaired Mitochondrial Activity in the Insulin-Resistant Offspring of Patients with Type 2 Diabetes

K.F. Petersen and Others

背景

インスリン抵抗性は,2 型糖尿病患者の子供における糖尿病の発症をもっともよく予測すると考えられているが,その根拠となる機序は明らかではない.

方 法

肝臓および筋肉のインスリン感受性を評価するために,インスリン抵抗性を示す,健康で若く過体重ではない 2 型糖尿病患者の子供と,年齢,身長,体重および身体活動レベルをマッチさせたインスリン感受性の対照者において,[6,6-2H2] グルコース注入と組み合せたグルコースクランプ試験(hyperinsulinemic–euglycemic clamp studies)を実施した.プロトン磁気共鳴分光試験(1H MRS)を行い,筋細胞内脂質および肝トリグリセリド量を測定した.全身および皮下脂肪での脂肪分解速度は,[2H5] グリセロールの代謝回転速度の測定と,皮下脂肪からの遊離グリセロールの微小透析法による測定を組み合せて評価した.リン磁気共鳴分光試験(31P MRS)を行い,筋肉におけるミトコンドリアの酸化的リン酸化活性速度を評価した.

結 果

インスリン刺激を受けた筋肉によるグルコースの取り込み速度は,インスリン抵抗性の被験者ではインスリン感受性の対照者よりも約 60%低く(P<0.001),筋細胞内脂質含有量の約 80%の増加と関連していた(P=0.005).全身あるいは局所における脂肪分解速度や,腫瘍壊死因子 α,インターロイキン-6,レジスチン,アディポネクチンの血漿中濃度に有意差がないことから,この筋細胞内脂質含有量の増加は,ミトコンドリアにおけるリン酸化の約 30%の減少(対照との比較の P=0.01)に示されているように,ミトコンドリア機能障害による可能性がもっとも高かった.

結 論

これらのデータは,インスリン抵抗性を示す,2 型糖尿病患者の子供でみられる骨格筋のインスリン抵抗性は,筋細胞内での脂肪酸代謝調節不全と関連しており,ミトコンドリアの酸化的リン酸化における遺伝的欠陥がおそらくその原因であるという仮説を支持している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 350 : 664 - 71. )