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November 25, 2004 Vol. 351 No. 22

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インフルエンザワクチンの皮内接種による接種量の節約
Dose Sparing with Intradermal Injection of Influenza Vaccine

R.T. Kenney and Others

背景

米国では,インフルエンザワクチンの供給量の半分が汚染によって失われ,重大な不足を招いている.ワクチンの皮内接種による接種量の節約も,考慮すべき 1 つの方法であるかもしれない.

方 法

18~40 歳の健常成人 100 人を対象に,インフルエンザ流行時期以外に無作為非盲検試験を行い,インフルエンザワクチンの皮内接種と標準的な筋肉内接種について,免疫原性と安全性を比較した.被験者を,各株につき最低 15 μg の赤血球凝集素を含む 3 種類混合のインフルエンザワクチン 0.5 mL を,あらかじめ充填した注射器で単回筋肉内接種する方法か,各株につき最低 3 μg の赤血球凝集素を含むワクチン 0.1 mL を,細い針で単回皮内接種する方法のいずれかに割付けた.両方の接種とも三角筋部に行った.赤血球凝集抑制反応(HAI)の抗体価の変化は,抗体価の幾何平均とベースライン値とを比較した倍率の増加を比較することと,セロコンバージョン率とセロプロテクション率を比較することで評価した.局所または全身の有害事象は,両方法によるワクチン接種後に評価した.

結 果

標準用量の 1/5 量のインフルエンザワクチンの皮内接種を受けた被験者では,21 日目の時点で HAI 抗体価の幾何平均が,ワクチンの H1N1 株について 15.2 倍,H3N2 株について 19.0 倍,B 株について 12.4 倍増加した.一方,標準用量の筋肉内接種を受けた被験者では,HAI 抗体価の幾何平均はそれぞれ 14.9 倍,7.1 倍,15.3 倍増加した.セロコンバージョン率とセロプロテクション率は,21 日目の時点で 2 群で同程度であり,それぞれ 66~82%,84~100%であった.局所反応が認められた被験者の数は,皮内接種群で筋肉内接種群よりも有意に多かったが,その反応は軽度で,一過性のものであった.

結 論

若年成人を対象としたこの研究では,標準の筋肉内接種の 1/5 量のインフルエンザワクチンを皮内接種することで,筋肉内接種と同程度あるいはそれ以上の免疫原性が引き出された.皮内接種は,インフルエンザワクチンの供給を拡大するために利用できる可能性があるが,この方法が日常的な使用に推奨できるようになるまでには,さらに詳細な研究が必要である.

(本論文は 2004 年 11 月 4 日 www.nejm.org で発表された.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 2295 - 301. )