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August 19, 2004 Vol. 351 No. 8

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インターフェロン制御因子 6(IRF6)の遺伝子変異と孤発性の口唇裂・口蓋裂のリスク
Interferon Regulatory Factor 6(IRF6)Gene Variants and the Risk of Isolated Cleft Lip or Palate

T.M. Zucchero and Others

背景

口唇裂または口蓋裂(あるいはその両方)はよくみられる先天性欠損症で,遺伝的要因と環境要因が絡み合って発生する.多数の患者とその家族を調査し,特異的な候補遺伝子を評価することにより,この複合形質に寄与する特定の遺伝的要因を探索した.

方 法

インターフェロン制御因子 6 をコードする遺伝子(IRF6)が常染色体優性型の口唇口蓋裂,Van der Woude 症候群に関与していることから,この遺伝子を候補遺伝子として同定した.IRF6 の一塩基多型により,274 番目のアミノ酸がバリンまたはイソロイシンのいずれかに置換される(V274I).アジア,欧州,南米に祖先をもつ 10 集団に由来する 1,968 家族 8,003 例において,V274I の連鎖不平衡解析,ハプロタイプ解析・連鎖解析,症例‐対照解析を行い,IRF6 の遺伝的変異に関連した口唇裂・口蓋裂のリスクを決定した.

結 果

バリン(V)対立遺伝子の過剰伝達(overtransmission)を示す強力な証拠が,集団全体のデータセットで認められた(P<10-9).さらに,南米とアジアの個々の集団の結果には,有意性の非常に高いものもあった.IRF6 の変異は,口唇裂・口蓋裂への遺伝的寄与の 12%を占め,患児が 1 人いる家族では,再出現するリスクが 3 倍であった.

結 論

IRF6 に関連した DNA 配列の変異は,口蓋裂を伴う,伴わないにかかわらず,口唇裂に大きく寄与している.単一遺伝子の変異が口唇裂・口蓋裂に寄与することは,遺伝カウンセリングの中で考慮すべき重要な事柄である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2004; 351 : 769 - 80. )