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May 19, 2005 Vol. 352 No. 20

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侵襲性肺炎球菌疾患の危険因子としての喘息
Asthma as a Risk Factor for Invasive Pneumococcal Disease

T.R. Talbot and Others

背景

喘息患者における侵襲性肺炎球菌疾患のリスクは明らかではない.

方 法

喘息と侵襲性肺炎球菌疾患との関連を調べることを目的とし,コホート内症例対照研究を実施した.この研究は,研究期間中(1995~2002 年)に 1 年以上テネシー州メディケイド制度(TennCare)に登録され,侵襲性肺炎球菌疾患について,検査に基づく前向き調査プログラムに参加している郡に居住する,2~49 歳の住民を対象とした.それぞれの侵襲性肺炎球菌疾患患者に対し,侵襲性肺炎球菌疾患に罹患していない,年齢をマッチさせた対照者 10 例を同一集団から無作為に選択した.肺炎球菌疾患のリスクを高める併存疾患の存在を同定するため,TennCare 記録を調べた.本研究では,喘息の定義を,1 回以上の入院または救急外来での喘息の診断の記録があること,外来で 2 度喘息と診断されること,あるいは喘息薬を使用していることのいずれかとした.高リスク喘息の定義は,入院または救急外来への来院が必要であること,救済療法の使用または経口コルチコステロイドの長期使用があること,あるいは研究への組み入れ前 1 年間に β 作動薬の処方が 3 回以上行われたこととした.

結 果

侵襲性肺炎球菌疾患の患者 635 例と対照者 6,350 例を同定した.うち,それぞれ 114 例(18.0%)と 516 例(8.1%)が喘息であった.対照者と比較して,喘息患者では侵襲性肺炎球菌疾患のリスクが高かった(補正オッズ比 2.4,95%信頼区間 1.9~3.1).併存疾患のない被験者における侵襲性肺炎球菌疾患の年間発生率は,高リスク喘息患者で 10,000 例当り 4.2 件,低リスク喘息患者で 10,000 例当り 2.3 件であり,それに対し喘息のない被験者では 10,000 例当り 1.2 件であった.

結 論

喘息は,侵襲性肺炎球菌疾患の独立した危険因子である.喘息患者のリスクは,対照者の 2 倍以上である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 2082 - 90. )