The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

November 2, 2006 Vol. 355 No. 18

心不全を改善するための左心補助人工心臓と薬物療法
Left Ventricular Assist Device and Drug Therapy for the Reversal of Heart Failure

E.J. Birks and Others

背景

重度心不全患者において,左心補助人工心臓を用いて心筋の負荷を長期にわたって軽減することで,一部の患者で,期間は異なるものの心筋の回復が得られることが報告されている.心筋回復の頻度や持続性が向上すれば,その後の心臓移植の必要性が軽減し,移植を延期できる可能性がある.

方 法

非虚血性心筋症に起因し,活動性心筋炎の組織学的所見が認められない重度心不全の患者 15 例を組み入れた.いずれの患者も心拍出量が著しく低下しており,強心薬の投与を受けていた.患者に左心補助人工心臓の埋め込みを行い,リモデリングの改善を強化するため,リシノプリル,カルベジロール,スピロノラクトン,ロサルタンを投与した.左室拡大の改善が得られたら,心筋萎縮を予防するために β2 アドレナリン受容体作動薬のクレンブテロールを投与した.

結 果

15 例中 11 例では,左心補助人工心臓の埋め込みを行ってから平均(±SD)320±186 日後に,補助人工心臓からの離脱に十分な心筋回復が認められた.1 例は,離脱から 24 時間後に難治性の不整脈により死亡した.他の 1 例は離脱から 27 ヵ月後に肺癌のため死亡した.生存患者で心不全が再発しない割合は累積で,離脱から 1 年後では 100%,4 年後では 88.9%であった.Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire スコアで評価した QOL は,3 年後の時点でほぼ正常であった.離脱から 59 ヵ月後に,左室駆出率の平均は 64±12%,左室拡張末期径の平均は 59.4±12.1 mm,左室収縮末期径の平均は 42.5±13.2 mm,運動時の最大酸素摂取量の平均は 26.3±6.0 mL/kg 体重/分であった.

結 論

単一施設で行われた今回の試験では,左心補助人工心臓と特別な薬物療法レジメンを用いることで,一部の患者において,非虚血性心筋症に続発する重度心不全からの持続的な回復が得られることが明らかになった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 1873 - 84. )