The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 21, 2006 Vol. 355 No. 25

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

待機的結腸直腸手術におけるエルタペネムとセフォテタンの予防的投与の比較
Ertapenem versus Cefotetan Prophylaxis in Elective Colorectal Surgery

K.M.F. Itani and Others

背景

エルタペネム(ertapenem)は,長時間作用型のカルバペネム系抗菌薬であり,予防的抗菌薬として推奨されているセフォテタンの代替薬となる可能性がある.

方 法

この無作為化二重盲検試験では,待機的結腸直腸手術を受けた患者を対象に,エルタペネムを用いた抗菌薬の予防的投与の有効性と安全性を,セフォテタンと比較して評価した.予防の成功は,術後 4 週間に,手術部位の感染,吻合部からの漏出,抗菌薬の使用がないことと定義した.すべての有害事象を,抗菌薬の予防的投与の 14 日後まで記録した.

結 果

試験群に無作為に割り付けた 1,002 例のうち,901 例(エルタペネム群 451 例,セフォテタン群 450 例)が,修正 intention-to-treat 解析の対象として適格であり,うち 672 例(エルタペネム群 338 例,セフォテタン群 334 例)をプロトコールに基づく(per-protocol)解析に組み入れた.患者層について補正後,修正 intention-to-treat 解析において,全体の予防失敗率は,エルタペネム群で 40.2%,セフォテタン群で 50.9%であった(絶対差 -10.7%,95%信頼区間 [CI] -17.1~-4.2).プロトコールに基づく解析において,失敗率はエルタペネム群で 28.0%,セフォテタン群で 42.8%であった(絶対差 -14.8%,95% CI -21.9~-7.5).いずれの解析も,エルタペネムの優位性を示す統計学的基準を満たした.修正 intention-to-treat 解析において,両群でもっとも高頻度にみられた予防失敗の理由は手術部位の感染であり,エルタペネム群の 17.1%とセフォテタン群の 26.2%に認められた(絶対差 -9.1%,95% CI -14.4~-3.7).投与を行った患者における Clostridium difficile 感染の全発生率は,エルタペネム群で 1.7%,セフォテタン群で 0.6%であった(P=0.22).

結 論

エルタペネムは,待機的結腸直腸手術を受けた患者の手術部位感染の予防において,セフォテタンよりも有効性が高かったが,エルタペネムに関連して C. difficile 感染が増加する可能性がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00090272)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 2640 - 51. )