The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 11, 2007 Vol. 356 No. 2

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

進行性腎明細胞癌におけるソラフェニブ
Sorafenib in Advanced Clear-Cell Renal-Cell Carcinoma

B. Escudier and Others

背景

進行性腎明細胞癌の患者において,腫瘍細胞増殖と血管新生のマルチキナーゼ阻害薬,ソラフェニブ(sorafenib)の第 3 相無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.

方 法

2003 年 11 月~2005 年 3 月に,標準治療に抵抗性を示す腎細胞癌患者 903 例を,経口ソラフェニブ(400 mg を 1 日 2 回)またはプラセボを連続投与する群に無作為に割り付けた.451 例がソラフェニブ投与を受け,452 例がプラセボ投与を受けた.主要エンドポイントは全生存期間とした.2005 年 1 月に予定された無増悪生存期間に関する独立した解析で,ソラフェニブにプラセボよりも統計学的に有意な利益があることが示された.このため,2005 年 5 月から,プラセボからソラフェニブへのクロスオーバーが認められた.

結 果

2005 年 1 月のカットオフ時では,無増悪生存期間の中央値はソラフェニブ群で 5.5 ヵ月,プラセボ群で 2.8 ヵ月であった(ソラフェニブ群の疾患増悪のハザード比 0.44,95%信頼区間 [CI] 0.35~0.55,P<0.01).2005 年 5 月の全生存期間に関する最初の中間解析では,死亡リスクはソラフェニブでプラセボよりも低下することが示されたが(ハザード比 0.72,95% CI 0.54~0.94,P=0.02),O'Brien-Fleming 法によるとこの利益は統計学的に有意ではなかった.部分寛解は,ソラフェニブ群患者の 10%,プラセボ群患者の 2%で最良の効果として報告された(P<0.001).ソラフェニブに関連する有害事象は,下痢,発疹,倦怠感,手足皮膚反応が多かった.まれで重篤な有害事象として高血圧と心虚血がみられ,ソラフェニブ群でプラセボ群よりも多かった.

結 論

ソラフェニブ投与により,前治療が成功しなかった進行性腎明細胞癌の患者の無増悪生存期間はプラセボと比べて延長するが,治療に伴う毒性作用は増加する.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00073307)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 125 - 34. )