October 4, 2007 Vol. 357 No. 14
オンタリオ州における薬剤溶出性ステントの有効性と安全性
Effectiveness and Safety of Drug-Eluting Stents in Ontario
J.V. Tu and Others
無作為化臨床試験によると,薬剤溶出性ステントの留置は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行患者における血行再建術の再施行率を低下させる.しかし,ルーチンの臨床使用における薬剤溶出性ステントの有効性は不明確であり,安全性に対する懸念が増している.
カナダ・オンタリオ州のすべての PCI 施行患者を登録する Cardiac Care Network of Ontario の地域ベースの臨床登録に基づき,2003 年 12 月 1 日~2005 年 3 月 31 日のあいだに指標 PCI においてベアメタルステントまたは薬剤溶出性ステントのいずれかの単独留置を受けた患者を,傾向スコアに基づいてマッチさせ,3,751 組から成る十分にバランスのとれたコホートを特定した.研究の主要転帰は,標的血管の血行再建術施行率,心筋梗塞発生率,死亡率とした.
2 年間の標的血管の血行再建術施行率は,薬剤溶出性ステント留置群でベアメタルステント留置群と比べて有意に低くなった(7.4% 対 10.7%,P<0.001).再狭窄の危険因子(糖尿病の有無,細い血管 [直径 3 mm 未満],長い病変長 [20 mm 以上])を 2 つまたは 3 つ有する患者では,薬剤溶出性ステントにより標的血管の血行再建術施行率に有意な低下がみられたが,低リスク患者ではみられなかった.3 年死亡率は,ベアメタルステント群で薬剤溶出性ステント群よりも有意に高かった(7.8% 対 5.5%,P<0.001)が,2 年間の心筋梗塞発生率は 2 群で同程度であった(それぞれ 5.2%,5.7%;P=0.95).
薬剤溶出性ステントは,再狭窄リスクが非常に高い患者において,死亡率や心筋梗塞発生率を有意に上昇させることなく,標的血管の血行再建術の必要性を低減させるうえで有効である.