March 13, 2008 Vol. 358 No. 11
セツキシマブ誘発性アナフィラキシーとガラクトース-α-1,3-ガラクトース特異的 IgE
Cetuximab-Induced Anaphylaxis and IgE Specific for Galactose-α-1,3-Galactose
C.H. Chung and Others
上皮成長因子受容体に対するマウス・ヒトキメラ IgG1 モノクローナル抗体であるセツキシマブ(cetuximab)は,大腸癌および頭頸部扁平上皮癌への使用が承認されている.米国の一部の地域において,セツキシマブに対する過敏反応の有病率が高いことが報告されている.
4 群の被験者から採取した血清検体を,セツキシマブに対する IgE 抗体に関して分析した.4 群の内訳は,主にテネシー州・アーカンソー州・ノースカロライナ州の複数の施設でセツキシマブによる治療を受けたことがある患者 76 例から採取した治療前の検体,テネシー州の対照被験者 72 例から採取した検体,カリフォルニア州北部の癌を有する対照被験者 49 例から採取した検体,ボストンの女性対照被験者 341 例から採取した検体であった.
セツキシマブによる治療を受けた患者 76 例中,25 例がセツキシマブに対して過敏反応を示した.セツキシマブに対する IgE 抗体は,これらの患者の治療前検体の 17 例で検出された.過敏反応を示さなかった 51 例のうち,この抗体を有していたのは 1 例のみであった(P<0.001).一方対照群では,この抗体は,テネシー州の対照者の検体 72 例中 15 例(20.8%),カリフォルニア州北部の 49 例中 3 例(6.1%),ボストンの 341 例中 2 例(0.6%)で検出された.IgE 抗体は,オリゴ糖のガラクトース-α-1,3-ガラクトースに対して特異的であることが示された.このガラクトース-α-1,3-ガラクトースは,セツキシマブ重鎖の Fab 領域に存在する.
セツキシマブに対して過敏反応を示す被験者の大部分で,治療前の血清中にセツキシマブに対する IgE 抗体が存在していた.この抗体は,ガラクトース-α-1,3-ガラクトースに対して特異的であった.