早期再分極に関連した突然の心停止
Sudden Cardiac Arrest Associated with Early Repolarization
M. Haissaguerre and Others
早期再分極は,よくみられる心電図所見であり,一般に良性であると考えられている.実験的研究により,早期再分極が不整脈を引き起こす可能性があるという仮説が立てられたが,突然の心停止との臨床的関連の有無については明らかにされていない.
22 施設で,特発性心室細動による心停止後に蘇生した患者 206 例のデータを再検討し,心電図上の早期再分極の有病率を評価した.心電図上の早期再分極の定義は,QRS 波のスラーまたはノッチとして現れる,下壁または側壁誘導の QRS–ST 接合部がベースラインから 0.1 mV 以上上昇することとした.対照群は,年齢,性別,人種,身体活動レベルをマッチさせた心疾患のない被験者 412 例とした.すべての患者から,植込み型除細動器によるモニタリングの結果を含む追跡データが得られた.
早期再分極の頻度は,特発性心室細動を起こした患者のほうが対照者よりも高かった(31% 対 5%,P<0.001).患者群のうち,早期再分極を示した患者は,示さなかった患者と比較して男性が多く,失神発作または睡眠中の突然心停止の既往を有する割合が高かった.8 例では,心室性不整脈を起こす期外収縮の発生部位が,再分極異常の局在と一致する位置に記録された.除細動器によるモニタリングにより,平均(±SD)61±50 ヵ月の追跡期間中の心室細動の再発率は,再分極異常を示した患者のほうが異常を示さなかった被験者に比べ高いことが示された(ハザード比 2.1,95%信頼区間 1.2~3.5,P=0.008).
特発性心室細動の既往を有する患者では,早期再分極の有病率が高い.